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「飲むのか?」

 ちいろは僕の膝に乗った小夜を気にすることなく僕のグラスにアルコールを注いだ。さっきとは違い、炭酸では割ってくれないらしい。

 ちょろりと一口。

「くっ」

 さっきとは違い、喉にアルコールを感じた。別にお酒なんて飲めないわけではない。兄に飲まされたこともあるので大体の限界もわかるが。

「あはは、飲みます? 飲んじゃいまっす?」

 疲労しているときやペース配分で簡単に崩れることも知っている。

 僕はどことなく危険を感じて楔を探す。

「い、いない!?」

 それどころかいつの間にか千華もいなくなっている。

 いや、千華を考えて楔が退散させたのか。

 というわけでこの空間には現在、僕と小夜とちいろと羽衣の四名だ。

「何かお酒が進むものはありますか?」

「たくっ、仕方ないな」

 小夜に聞かれ、ちいろはどことなく嬉しそうに席を立ち食堂の奥の壁を開けた。どうやら壁の色の戸棚になっており、中には冷蔵庫が備え付けられているようだ。

「伊織には内緒だからな」

 そういって、僕と羽衣のところに酒に合いそうなチーズや乾物が並んだ皿が置かれた。ついでにお酒の追加も行われた。

「ちいろはお酒をよく飲むの?」

「都和に誘われたらだな」

「自分はたまーにっすね。家ではよく飲まされていたっす!」

 ちいろはお酒を飲んでもあまり変わらない印象だが、羽衣はテンションが高くなるようだ。

「んふー」

 小夜も少しテンションが高いがあまり変わりないような気もする。というか、その飲んでいるグラスは僕のだぞ。

 注意をする気は起きない。

 どこか隙を見つけて逃げないと大変な目に合いそうな気がする。

「こういうときっすから、何かしませんか?」

 羽衣の提案。

 それはきっと僕がもっと馴染めるようにとの思いが幾許いくばくかあったのだろう。

「というわけでー、男はいなくても王様ゲームっす!!」

 だが、わかった。羽衣は敵だ。

 気が遠くなりかけた。

 苦手な雰囲気で、逃げたいが小夜が邪魔で強引には逃げられない。

 だからこそ、僕は逃げの一手を口にする。

「良いですね。では、都和が戻ってきてからしましょう?」

 

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