表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/210

95

 僕は困りつつも適当に八等分に切った。

「美味しそうです」

 そう言ったのは小夜で、中は確かに果物が何重にも入っていて手の込みようが期待を煽る。

 切った後は綺麗にちいろが皿に並べて手渡してくれた。

「シャンパンでも開けますぜい!」

 ノリノリの都和。取り出したビンは明らかにお酒に見えるが、姫城さんはケーキの方に注視しており止めることは出来なかった。ちいろと楔がしっかり見ていたので水を差すのもなんなので僕はあえて飲み込んでおいた。

 楔が用意したグラスの半分に都和が明らかな白ワインを注いだ。それにちいろが炭酸水を注ぎ入れる。

 これでカクテルのスプリッツァーの出来上がりである。って、出来てはいけないのだが。

 僕は小さな声で都和に聞く。

「お酒は二十歳からなんだけど大丈夫なの?」

「ダイジョウブダイジョウブ。ゼンゼンオサケジャナイアル」

「……せめて、小夜と羽衣と姫城さんはジュースとか」

「小夜は年上だぞ?」

 あ、そういえばそうだった。いや、知っていてわざとなんだけど。

 なんて少し話している間に、グラスが皆の手元に行き渡ってしまった。止める隙がまるでなかった。

「酒癖が悪い子なんていないよね」

「……」

 頼む。都和、こっちを見てくれ。

「ここまで来たら同罪だから」

「そんな不吉なことを今言われても」

「それでは、周の二日目を祝してー」

 斬新なことに二日目なのを祝すらしい。つっこみはしない。

「かんぱーい!」

 杯を軽く上げ、僕はもう深く考えずに口に含んだ。

 甘く、ほとんどただの炭酸ジュースのようだった。

「お高いやつですんでね」

 都和はしたり顔をする。

 本当にお酒なのだろうか。いや、あまり飲まないようにしておこう。

 次にケーキを口にする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ