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 表情は芳しくない。

「どうしたんですか?」

「ふむ、どうもこの学園に一か月の間だけ男性を置くという話があったのじゃ」

 それは僕のことなのだろうか。

 怪訝な表情を浮かべていると姫城さんは優しい笑みを浮かべてくれた。

「気にすることはないのじゃ。断って置いたからの」

 男が嫌いに思われたかもしれない。別に訂正すべきことではないので頷いておく。話の内容から察するに僕ではないようだ。

 僕であった場合は一か月確約なのはありがたかったが。

「教師側だったんですか?」

「よくわからなかったのじゃ」

 そこのところは大事じゃないのか。

 帰り仕度を始める姫城さんの動きを見ながら僕はこの後のことを考えていた。

 おそらく巻き込んでしまうだろう。

 姫城さんは僕の味方か、敵か。

 打ち明けるとどうなるか。

 天秤にかけてみると少しリスクの方が高いか。

 姫城さんと共に生徒会室を出る。すでに夕暮れ。時間も六時に近い。

 冬であれば真っ暗な時間だが六月ではまだ夕焼けだ。そのため闇に紛れることも難しい。

 考えていた変装手段も手元にはない。いや、小夜からもらったマスクがあるのか。

「……」

「ん、マスクをするのかの?」

「色々と目立つので」

 勇気を振り絞り僕はマスクを付ける。

「マスク、反対に付けていないかの?」

 ぐっ、目聡い。

 僕は言われて付け直す。

「……」

 これで少しでも千華に対して発見を遅らせられれば御の字だが、僕の精神的ダメージは思った以上に深いものとなった。

「うむ、正しく付けないと効果は減るからのう」

 姫城さんはどうやらファッション性よりも機能性重視のようだ。

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