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頼もしい年下だと思う。
小夜と年齢を入れ替えた方が良いと思う。
お茶を啜り一息入れていると生徒会長は仕事に戻った。
書類を見ては難しい顔をしている。忙しそうだ。
「手伝いましょうか?」
僕の提案に生徒会長は驚いていた。
「いや、良い。七海はゆっくりするのじゃ。倒れていたのじゃからな」
気を使われてしまった。そうなると作業中の生徒会長に話しかけるわけにはいかないのでこの部屋ですることはなく手持無沙汰になる。
なんとなしに携帯電話を開くとメールが二通届いていた。
一つは妹からで身体を気遣う内容であった。僕が何をしているか教えていないので文の節々に心配そうな表現がくっついている。大げさだなーと思いながらも安心させるべく短い文で安否を報告した。
もう一通は都和からでケーキを買ったので晩御飯には遅れないように帰ってくるようにと伝えるメールだった。
勿論晩御飯までには帰りたいが、千華のゲームは一筋縄ではいかない。
レベルアップする時間がないので僕は少し卑怯な手を試してみることにする。
「生徒会長は」
「……」
少し眉を上げた気がする。えっと、作業中ではないときを選んで声をかけたので仕事関係ではない。
「姫城伊織じゃ」
どうも呼び方らしい。
「姫城さんは寮に住んでらっしゃらないのですか?」
変な敬語になったが慌てたので仕方ないと自己を正当化させつつ尋ねた。
「ふむ、そうじゃの。あまり行っておらんのう。天霧に会いたいことじゃから今日は足を伸ばしてみるのじゃ」
誘う前に思い切りの良い彼女に先を越される。
とんとん拍子で話が進むと疑い深い僕に取っては中々怖いことだと思ってしまう。
そういえば、あの寮に住む者全員が天想代力を持つと言うのなら姫城さんも例外ではないはずだが、彼女は僕のことをどこまで知っているのだろうか。