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お茶菓子も用意されていた。
好意に違いないのだろうが、学園に来てから美味しいものが沢山で餌付けされている気分になってきている。
断るつもりはないけれども。
生徒会長が僕の前に座り、じっくりとお茶を入れてくれた。
蒸すような感じなのかはさっぱりわからない。お茶の入れ方に正しい方法があるのかはわからないがなんとも温かい味が口に染み込んでいく。
「おいひぃ」
熱いお茶に、甘い和菓子。
犯罪的だ……うますぎる……。
僕は幸せを噛みしめていた。別に家での食事も悪くは無く、食に関してもあまりこだわりがなかった僕だがやはり高いものは美味しいのだと実感する。これが続いて舌が肥えても困るのだけれども。
「私のも食べるかの?」
僕の食べっぷりを見てかそんなことを言う。
「いえ、夕飯が入らなくなるので」
少し惜しいが遠慮しておいた。
「七海よ。寮の方はどうじゃ?」
二杯目のお茶を口にしたところで切り込まれた。なんと答えれば良いのかはわからないが慣れたとだけ返した。
勿論、そんな早く慣れたら苦労はしないけれども年下の生徒会長を困らせたくないということもある。
「ふむ、そうか」
僕の答えはお気に召さなかったのか僕の目をじっと見つめてくる。
「なんですか?」
「悩みは天霧じゃないかの?」
都和は信用されていなかった。
慌てて否定しようとしたが、僕が女の子になった原因は都和なので曖昧に答えることにした。
「悪い人ではないですが……」
やや芝居口調で言うと僕は被害者みたいだ。
「ムードメーカーとトラブルメーカーじゃからの。私の方から言っておくのじゃ」