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「うぐっ……」
ひどい倦怠感と軽い眩暈がしながら目を開けると姫城会長が目に映った。
「七海よ、大丈夫かの?」
手には膝かけを持っている。
頭の中で次第に状況を整理。どうやらここは生徒会室のソファーに横にされているらしい。
「ありがとうございます」
「起きなくても良いのじゃ。横になって休む方が良かろう」
そういって僕に膝かけをかけると離れ、お茶の用意を始めた。起き上がり手伝おうとしたが、僕はだるくて起きる気にはなれなかった。
「お昼はしっかり食べたのかの?」
「はい」
昼ごはんはしっかりと小夜が作ってくれたものを食べた。お弁当の定番が目白押しで少し嬉しかったのは内緒にしておく。
「疲労が出てしまったのかのー」
転校二日目でこうなりはしない。
ただ、僕は千華に負けて何の廻りかはわからないが生徒会長に看病されているだけだ。
「とにかく今は身体を休めた方が良いのじゃ。今の時期は滅多に人が来んもんだからゆっくり出来よう」
千華はあのとき僕の身柄の値段を尋ねてきた。その真意は僕がこの学園に長くいないことを知ってのことだ。どこで知ってどこで好感を得たのかは不明だが、逃したくないためにゲームをすることになった。
ルールは単純で晩御飯が出るまでに帰れなければ僕の負けで、帰れれば僕の勝ちだ。
勿論、僕にも旨みがある。
裏千華との対話権利だ。
これが通れば一先ず都和の問題は解決にかなり近づく。
だが。
手強い。
先程、手合わせてもらった結果。目だけしか追いつかなかった。
どうも身体の方は目の色が変わっても高速バトルにはついて行けないようだ。
もしかすると青臭い修行なんてものをしないといけないのかも知れない。
小夜にこの辺りを聞く必要があると考えていると、テーブルに湯飲みが置かれた。
「飲めるかの?」
「はい、頂きます」