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 目と目が合う。

 瞬間僕は気付いた。

「目の色……」

 疑い深い目をされる。

「なに、僕が持ってちゃだめなの?」

 あえて聞いてみる。

「周さんのはいなくなったはずじゃ……」

「どういうこと?」

「単なるきまぐれじゃなさそうなのかな。それにしては私たちに対してのアクションが……」

 なにか考え込んでしまった。話が長引きそうなその隙に僕は小夜の脇を通り廊下に逃げ。

「や!」

 れない。無事に行けるとは思っていないが。

「ベッドに寝て下さい」

 真面目な顔で言われた。

「はい、わかりました」

 なんて戯けたことは言わず、僕はただ苦い顔を浮かべる。

「いにゃ!? あ、ちが、私は周さんの呪いを解こうと……うぅー、無理強いははしませんって。嫌なことは一切しないですって。だから嫌なら言ってくれないと止まれませんよ?」

 そういって、ゆっくりと恐る恐るとぎゅーっと抱きついてくる。

 僕は拒否しない。

 だが、期待はさせたくないので突き放す。

「小夜。別に抱きつくのは構わないけど、妹ぐらいにしか見えないからね」

「んぐっ……」

 僕の胸で小さく驚いたが、立て直すのは早かった。

「徐々に家族じゃないことを意識づけます」

 満面の意味だ。

 嬉しそうな小夜の表情を見て。

 僕は唇を奪ってしまった。

「……あれ?」

 不思議だったのは僕の方だ。

 するつもりも雰囲気でもなかったのに僕は小夜と唇を合わせていた。

 高揚する。

 まるで酸素を吸うように身体の中のなにかがひどく求めているようだ。

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