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今日の髪型はお団子ヘアー。後ろ側に二つ丸く出来ている。
「これはちいろ先輩の趣味っす。というか、小夜先輩と自分はちいろ先輩に弄られまくられてるっす」
こんなところにもちいろの魔の手が。面倒見が良いを軽く一周していないか。
ふと、僕は自分の髪を触る。上の方に寝癖が付いていることがわかり、部屋から出る前に直そうと強く思った。
「ちいろに弄られてたまるか……」
昨日の風呂場での事件は軽くトラウマである。
「おおぅ、でもしてくれるから楽っすよ?」
楽であっても自分を捨てたくはない。
「っと、朝の時間は貴重なのでもう行くっす。七時に朝食ですからそれまでに食堂に来て下さーい」
羽衣と別れ、僕は部屋に戻りベッドに倒れ伏した都和を起こす。
「都和ー?」
「あと……もうちょっと……」
お決まりのセリフだな。
なんて思う。
兄も妹も朝はしっかりしているので寝ぼけている子を見るのは少し微笑ましい。
「もうちょっとって、いつまで寝てるつもり?」
「んー、SRが来るまで……」
「夢で何しているの?」
聞かずにはいられなかったが答えはなかった。
とりあえず手で髪を梳きつつ僕は制服に着替える。
「黒か……」
「起きたの?」
黒と言われてもスパッツだから見られたところで恥ずかしくはないが。
「あー、大分寝たはずなのに眠い」
目をごしごしと猫のように手で擦りつつ、小さな欠伸をしていた。
「人がいると寝れないんじゃないの?」
「そんなことないさ。それよりも、こうして穏やかに起こしてくれる方が私としてはありがたいのでおじゃる」
語尾につっこみはいれず。僕も欠伸がうつってしまった。
「んんー、しかし同室者って良いな。これでもう少し胸が大きかったら抱き心地も良いのに」
セクハラな上に抱き枕代わりか。
じーっと抗議の眼差しを向けるが効果はなく時間の無駄になった。
「よいしょっと」
そういって、なんの前触れもなくパジャマの上着を大胆に脱いだ。
「んにゃぁあああ!?」
慌てる僕。
「んむ……」
ベッドにまた倒れる都和。どれだけ朝に弱いのだ。病的だぞ。
「心臓に悪い……」