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曖昧に場を濁そうと苦笑していると都和が助け船を出してくれた。
「周のはオーダーメイドだから洗いに出してないんだ」
「手洗いってことっすか! すごい、大変そうっすねえ」
僕もそう思う。
だが、前以って洗濯係である羽衣に伝えられて良かったと思う。
「ところで下着のオーダーメイドはいくらしたんですか?」
「えっと……」
女性物下着の値段の適正価格はわからない。
都和の追加の助け船を待つも出て来ない。思い切って後ろを見ると都和は助け船を用意しているのではなく船を漕いでいた。
眠たいにしても唐突過ぎる。あ、寝てしまった。
「あら、都和先輩ったら今日は大丈夫と思ったんっすけどもやっぱり寝てしまいますか」
「……都和って朝に弱いの?」
「めちゃくちゃっすよ。顔洗っても全然目を開けないときもあるっすから」
僕は目覚ましの変わりなのだろうか。ばっちり目を覚ましていたと思うのだが。
「ところで下着のお値段はいくらっすか? 後学のために教えていただいてもいいっすか?」
将来のためになるのかはわからないが僕は考えて。
「十万円……?」
適当に答えた。
これが安いのか高いのかはわからないが羽衣は感心していた。
「まさか、宝石とか付いてます?」
一気にマダムくさくなった。
普通はつけるものなのだろうか。
「と、ところで今日は昨日と違う髪型なんだね」
あまり質問を重ねられても困るので僕から羽衣に話を振ってみた。