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その指摘で僕はふと思い出す。
昨日の惨劇を。
ゲームオーバーのように見えたがなんとか無事である。
色々とすり減り無くなった気がするが、途中で意識が途絶えたので細部はわからない。
それが不思議であり怖い。
僕を女にするようなやつなので僕の知らないところが変わっていないか心配だ。
「頭のつむじが逆になってたり……って、誰が得するんだか」
僕は前のボタンを締め直し、立ちあがろうとして。
「周?」
都和に止められる。
「なに?」
「今日の予定は?」
「予定って。学校に行って、戻ってまた情報収集だよ」
目標は裏人格さんと。
一人では返り討ちに遭いそうなので小夜とでも向かうつもりだ。
「何かわかったのか?」
「よくはわかってないけれど、まだ探索は出来る段階かな」
小夜には朝に話をしないと。
「わかった」
そういって、にーっと笑いながら布団をめくり手招きする。
「いや、いかないって……」
行く勇気もない。
「都和ってさみしがり屋なの?」
「んー、この学園入ってからはスキンシップが増えたかな」
じりじり近寄ってくる都和。後ずさる僕。
なんだこの関係は。
僕が五分後、容易に壁際に追いつめられたところでチャイムの音が部屋に響いた。
「ちっ」
助かった。
下手な舌打ちを聞かなかったことにし、僕は来訪者の方へと足を進めた。
「おはよ-っす!」
来訪者は朝から元気いっぱいの羽衣だった。
「どうしたのって、そういうこと?」
視線を下にすると手には洗濯された制服を持っていた。
勿論僕が下着代わりにしているスパッツもだ。
「下着を持ってくるの忘れたんすか?」