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 最低三人に対しては有効な手を。

「……スタンガンって持ってる?」

 冗談で聞いたが楔の答えは柔和な笑みとは異なり残酷だった。

「あんまり私をがっかりさせないように」

 僕は思わず押し黙る。

「中学のときに見せた鋭い切れ味の活躍は忘れたの?」

「そこまで言わなくても……楔は違うクラスで見てないかもしれないけれど、玖乃くないが絶好調なときはこんなダウナーです」

 悪友、端原玖乃はしばらくない

 ストライクゾーンが極めて細かい設定をしている変態。基本的には無害でありクラスのムードメーカーだが、定期的に暴走する癖があり僕を含めて数名はセクハラされていた。といっても、彼女にとって僕は内角高めだったからハグぐらいだったけど。僕と違い有名私立高校に入っているから数年会っていない。

 そういえば高校に入ってからセクハラ被害にあっていないではないか。

 こんな地獄ではなく早く楽園に戻りたい。

「そうだったの? あれ、でも衣装の採寸取るときとか、私も周も下着姿になったわよね?」

「うーん……」

 直接的接触ではなかったからだろうか。それとも失礼ながら興奮しなかったからだろうか。苦手な意識の詳細が自分でもよくわかっていない。

「……周の呪いって一つよね? 性欲も呪われてないかしら。発散出来ているの?」

「あのねえ」

 僕は渋い顔を返答とした。同級生に性事情まで言う仲にはなりたくない。

 しかし、これが呪いであったらどれだけ僕は救われるか。

 一旦仕切り直し、楔が僕の着がえを持ってくるとのこと。

 現在はバスタオル一枚なので僕は甘えることにした。六月とはいえこの格好では少々寒い。

 体調を崩して長引くなんてナンセンスだ。

「持ってきたわよ」

 そういって部屋に戻ってきた彼女が手にしているのは明らかにメイド服である。

 楔が着ている古めかしく、あまり華美ではないそれを僕は苦い顔で受け取る。

「別に狙ってじゃなくてそれぐらいしか新品がなかったのよ。私服で良ければ貸すわよ」

「……いや、良いよ」

 好意として受け取ろう。わざわざ用意してくれたわけだし。それに新品の方がまだ精神衛生上好ましい。

「下着もまだ私が履いたことがないのを一応もっ」

「いらない。いらないから出さないで」

 着たことがないとはいえ、下着を見るのは目に毒です。

 僕は楔に後ろを向かせてメイド服を着用。

「うっ……」

 下が心許ない。早めに話を切り上げて下を履かないと。違和感がひどい。

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