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ぱぱっと文字通り僕の頭を洗いのけた。
僕は呑気にそれに対しおざなりに礼を言うと。
「どーせ適当なんだろ。ついでに身体も洗うか」
エクストラステージに入った。
了承を得る前に僕の素肌に直にボディソープが塗りたくられる。
「んにゃぁあああ!」
「おい、暴れるなって」
こいつまさか天然で女性キラーなのか。
潜在能力の高さに僕は驚きつつ、抵抗する。
「背中を預けられる中じゃないでしょー!」
あまり大声を出さない僕でも出す。
身の危険だ。
僕はドアの方に歩きだす。しかし、長い髪があだとなり僕は掴まれる。このときほど長い髪が迷惑だと思ったことはない。
「ここはどこの戦闘区域だ!」
銭湯区域でもないです。
そんな冷静なつっこみをする余裕もない。
片手で逃げないように僕をホールドしつつ、もう片方の手で身体を洗ってくる。身体の距離はゼロ距離。
ちいろの体温が嫌でも僕に伝わる距離だ。
「ひぃ……」
至る所が柔らかい。吐息が耳にかかる。
女子高生の肢体を存分に味わうことを役得にする気概は僕にない。
「んんんんんんん……!」
「そんなに身体を固くするなよ。洗うのが嫌なのか?」
そうじゃない。
「人にそんなに触られたくないの……」
「あ? 言っても俺だって変なところは触ってないんだが」
そういうが、秘部以外あますところなく触られている。
そもそも手でにゅるりと全身くまなく触られるなんてお嫁にいけないとかそんな次元でなく、もうこの世にいれないんだけど。
背中を腕を肩を胸を腹を足を尻を。
「はい、お仕舞いっと! 綺麗になったぜ」
「ありがと……百合の人……」
「ん? ああ」
皮肉は通じなかった。
お風呂場から脱出。長湯になってしまった気がする。
「どうだったお風呂は」
待ち人は来ていた。
約束は合っていたようだった。
なんとなく毒混じりだが返答する余裕はなく、僕はバスタオルに包まり涙する。