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 優先事項を明らかに間違えているが広い湯船の中で足を伸ばせるのはとても気持ちが良い。

 空調がしっかりとしているためか、すぐにのぼせる様な熱気はなくこのままゆったりと心行くまで入りたい気持ちだが如何せん誰が入ってくるかわからない。

「鍵を閉められたら良いのに」

 この後わかることだが鍵はかけられる。ただし、それは安全面を考慮して楔が寝る前に閉めると言うものでそれ以外は閉鎖しない決まりだと言う。

 名残惜しいものの、僕は立ち上がる。

 身体を軽くもう一度流し、脱衣所に戻った。

 戻って備え付きのバスタオルで身体を拭いている最中にドアが開いた。

「お、入っても良いか?」

 待ち人である楔ではなく、ちいろだった。

「どうぞ、お先に頂きました」

「良い湯だったろう」

 ちいろはにぃっと笑いながら僕がまるでいないかのように躊躇なく服を脱ぎだした。健康的な肢体を惜しみなく晒すが凝視するわけにはいかず僕は目をそらす。

「ええ、良い熱さでした」

「実は天然の温泉を引いているって話だってさ。どこから引いているかはわかんねーけど、広い湯船でゆっくり出来るのは良いもんだ」

「同感です」

 出来ればゆっくりしたかった。

「おい周、拭き残しあんぞ」

 そういって下着姿のまま僕に近寄り、僕のバスタオルを使って背中を拭いてくれた。

 好意であるのは重々わかるが、さすがに服を着ていないこの状況で防具バスタオルを取られると恥ずかし過ぎる。

「よし、拭けたぞ」

「……大胆なんだね」

「何が?」

 天然か。

 もはやファンクラブがあったのはこういうこともしてたからだと確信した。

 下着を変えていないところやスパッツを直に着ていることも知られたくなかったので着替える前に鏡台に座り先に髪を乾かすことにした。

 しかし、この時間稼ぎをちいろは許してくれない。

「雑に乾かすなって。俺が髪を乾かしてやるよ」

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