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 極力人と関わりたくないので当然端っこ側の席を選ぶ。

 楔はというと取り皿を並べると一礼してそのまま部屋からいなくなってしまう。きっと人を呼びに行ったのだろう。

「いつもこんなにいっぱい料理が並ぶの?」

 二人になり、お預け状態で仕方ないので僕は都和に尋ねてみる。都和は僕の方を見て笑みを消さずに小さく頭を下げ、ゆっくりと手を合わせた。

「頂きます……じゃなくてさ」

 弱つっこみ。都和は嬉しそうに笑う。僕は顔をわかりやすく顰めて(しかめて)いると、取りつくように疑問に答えてくれた。

「あー、今日の料理が多いのは紀伊きいちいろが頑張ったからだな」

「紀伊ちいろさん?」

「ああ、そうだ。一言で言うなら気配り上手な人だな」

「ふむ」

「二言目にもてる」

「うっ」

 一気に僕の想像では男勝りになってしまった。

 所謂いわゆる女の子が好きな女の方なのだろうか。

「ああ、彼女がちいろだよ」

 そんな話をしていると噂の彼女がやってきた。

「はい?」

 部屋に入ってくるなりいきなり話を振られた彼女は不機嫌そうに返事をした。

 一目見た印象は長いスカートとぎらついた目が一昔前の不良娘を彷彿とさせた。スカートのポッケに手を入れているところもポイントが高い。

「周にちいろの説明をしていたんだ」

「別に俺の説明なんていらないだろ」

 定規でそろえたかのような亜麻色のショートカットの髪を揺らすように首を小さく振り視線を行ったり来たり。どうも、僕と料理を交互に行っている。

「……この料理はちいろが作ったんですか」

 無言の圧力に流され思わず質問を余儀なくされる。

「別に全部が俺じゃねーよ。半分くらいしか作ってねーって」

 がさつな言い回しだが、その質問に嬉しそうに答える。

「別に新しい人を歓迎するために作ったわけじゃないからな。単純に楔の負担を減らすためだから良い気になるなよ」

 うん、これは確かに不器用で面倒見が良さそうだ。気配りが上手なのも頷ける。

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