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「僕は人が近くにいると寝れないの」
真っ赤な嘘だ。
僕は近くに人がいても気にせず熟睡出来るタイプの人間だ。家では妹が潜り込んだりしてくるときもあったけれど全然気にはならなかった。
「いやいや、転校初日から授業中に寝てたじゃん」
横に並んだソファーに座りながら僕の嘘をさらりとなで斬りしてきた。
よく見ている。
授業をしっかりと受けていなかった僕が言うセリフではないが、授業を聞けと言いたい。
「別にセクハラぐらいしかしないって」
「なぜ公言して僕が横で寝ると思ったのさ」
「正面から行くのが私のスタイルだ。理由を強いて言えば断らないと思うからだ」
大正解。
い、いや、流されないと決めたのだ。僕はこの試練に立ち向かう。
「例えば、周が座っているソファーを捨てるとか。いっそベッドで寝ないと言うなら一緒に床で寝るとか」
「そこまでしてなの……?」
すでに心が折れそうな僕の心をさらにへし折る一言。
「他にも、周の着がえは私が全部用意したので下着を紐にしたり、パジャマを派手なキャミソールに変更するとか」
「もういい……わかったわかった」
えぐい。えぐすぎる。
寝るときぐらいは心安らかに寝かせて欲しい。小さな願いも届かないのか。こんなにも精神が疲れていると言うのに。
精神病を患ったらどうしてくれるのだろうか。
「一応聞くけど、どうして一緒に寝たいの?」
「そりゃ、人と一緒に寝た方が寝やすいだろ?」
そこは人それぞれだが。
「その理論は飲むとして……僕は男の子なんだよ?」
「それが?」
堂々と言い返された。本気で首を傾げている。
まさか都和に男の概念が通じないというのか。
確認するのは怖いので僕はぐるりと話を変えてみる。