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都和が笑顔で出迎えてくれた。
「おかえりさん」
「ん……ただいまで良いのかな?」
「ここが私と周の部屋になるから良いのだ!」
釈然とはしないが、訂正する気はない。
僕は歩を進めて、中へ入れてもらった。
中は広く小奇麗で、内装は清潔感のある白を基調としており、入口と反対の壁際、つまり向かって右側奥には教科書が散乱して置いてある勉強机、その近くに本棚が見える。ここだけを切り取って見ると真面目に見えるが、左奥のところは天蓋付きのベッドと、カーテンが毒々しい魔のピンク色を主張しており僕は小さく頷くしか出来なくなった。
「周が来るってことで大分整理したんだ。小物や本とかはまとめて倉庫にぽいって置いてきた」
「ベッド一つなんだけど」
「でかい方が寝やすいだろ?」
僕は入口近くにテレビが見えるように置かれたソファーに座り一言。
「毛布だけ頂戴」
拒絶してみた。
「それは寝るには適してないって。一緒にベッドで寝ようぜい?」
しかし生半可な拒否は照れ隠しだと思われたらしい。ベッドに座り、手を伸ばしてくる協力者に僕は小さくため息一つ。
小夜とは違い都和の場合は僕に恋愛感情はなく単純に友達や家族のように接しているようだ。コミュニケーションを取りやすく、親しみやすいものの僕としては馴れ馴れしいことの方が長所を上回る短所だ。