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「やっぱり何かされたんじゃ……」
スパッツは取られたけれども。
まさか白羽は罠に当たることを予測したのか?
結果的には僕が被害を被っている。
「とにかく降ろしてくれる?」
「はい」
そういって、降下する糸。
「えっと……?」
ゆっくり降下してなぜか小夜にお姫様だっこされる僕。
糸が離れて行くのがわかったけれどもここまで手厚くしなくても良いのに。
「離してくれる?」
「ここ怪我しちゃいましたね」
ちらりと自分の右足を見ると確かに赤い線が付いていた。
細い糸でこの程度のダメージならば擦り傷だ。天想代力の防御が働いたのかは謎ではある。
「このくらいなら自分で治せるし良いよ」
「責任をとって私が治します!」
「いや、治せるし……」
「私が癒します!」
話を聞いてくれなかった。
僕は仕方なく頷いた。
お姫様だっこから降ろされて足首を触られる。
かすり傷だったがさすがに触られるとさすがに少し痛い。
「……ぐへへ、周さんの足ぃ」
「なんというか、尊敬を覚えるよ……」
「私に好かれたんですから抵抗はもう諦めて下さい。別に私が……一番じゃなくても良いんですから……」
「……」
僕は何も言わずに小夜に何かされる前に足を自分で治した。
そして、軽く小夜を蹴る。
「にゃん!?」
嬉しそうだった。
「小夜の破滅願望は置いといて……」
「置いとかないで下さいよ!」
僕はとりあえず立ち上がる。
その際に、スパッツも再現した。
「あは、周さんは魔法少女にでもなれそうですね」
「変身するだけで?」
「朝アニメ枠の健全でお願いしますね」
どこ目線で見るつもりなんだろうか。
「小夜は伽羅をどう思った?」
「んー、よくわかんないです。でもなんとなくですが昔の周さんに似ていた気がします」
「僕に?」
あの頃の僕は伽羅といたならそうか。
「それよりも黒伽と名乗った子ですけれども……」
もう一人の妹の名前を聞いて思い出す。
ひどい呪いだと思う。
ゆっくりと思い出が頭をかすめるが。
「あの子、白羽が持っていた模倣性の概念を持ってましたよ」
小夜の言葉で現実に戻される。
「ふむ……」
双子の関係性はなんなんだろう。
敵同士なのか味方同士なのか。
「小夜はさ。伽羅と黒伽。どっちが敵だと思う?」
僕の質問に小夜はばさりと切り捨てるように言う。
「どちらも敵です!」




