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「のぁん!?」

 吹っ飛ぶ玖乃。

 オーバーリアクションもしているせいか軽く二メートルは飛んでいる。

「はぁはぁ……」

 目は元の色に戻っている。

 楔だ。

 だが、僕の方を見るとゆっくりと構えた。

 目の色は徐々にオッドアイになっていく。

「立ちなさい」

「楔……なんで?」

 戦闘は終わったはずだ。

 玖乃は時間切れなんて言ったのに。

そそのかされたわ。全く、もう……嫌になる。そうね……でも、大体わかったわ。これが干渉なのね」

「……ふむ」

 玖乃は興味深そうに楔を見ていた。

「暴走してるなあ。ありゃ、ちょっと危険だなあ」

 と、僕にだけ聞こえる声で呟くのだった。

 さてと、僕は立ち上がる。

 身体が十分に動かないのを再現で治す。

「ふぅ……」

 無茶苦茶やり過ぎて天想代力が今のでほぼ空になってしまった。

 どうも、再現しにくいものはかなり天想代力を使うらしい。

 当たり前か。

「さすがに一つ聞かせてもらうけれども僕がここから出ることに対して怒ってるの」

「別にそうではないです!」

 語気を強くして言われた。

 そうなんだろうなと僕は思う。

 僕は二歩程前に出る。

 楔との距離はわずか一メートルを切る。

「一つ言っておくけれど、すぐには僕は帰らないよ?」

「だから違いますって」

「じゃあ、帰っても良いの?」

「それは…………ダメ」

 目を伏せられた。

 僕は。

 僕はその隙を見逃さなかった。

 距離を詰める。

「な……!?」

 干渉が頭をよぎる前に僕は大外刈りをし、地面に倒す。

 衝撃はなけなしの天想代力で分散させた。

「えっと……落ち着いたらまた話し合おうね?」

 混乱しているところの楔の唇を羞恥心をかなぐり捨てて奪う。

 味わうなんて上等な真似なんて出来ずに、貪るなんて言葉が似合うかのように僕は求める。

 最初は僕の背中を爪で引っかいたり、叩いていたが観念したかのように僕の方を涙目で見ていた。

「うわぁ……えげつない」

 玖乃の声は届いていないふりをしつつ、僕は舌を入れる。

「……んんっ!!?」

 朝ごはんの味見をしたのか心なしか卵の風味がした。

 うん、変態チックだ。

 考えないように天想代力を回復させるのみだ。

「……」

 どのくらいしたかわからないがとりあえず、天想代力が半分程回復したところで一息。

「御馳走様でした。ふぅ……」

 深呼吸。

 楔はと言うと気絶した。

 玖乃が言うには処理落ちらしい。

「いやあのまま力一杯暴走してたら同じようになってたかもな。あはは」

 軽く笑いながら言っているがそれは玖乃や小夜と同じく天想代力と同化するということなのだろうか。

 防げたというのならば選択肢は悪くはなかったか。

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