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 おそらく都和も小夜と同じように強い呪いを受けている。

 そういった類の悩みなんだろう。

 それでも。

「都和がかなり嫌そうにしていたんだけど」

「そりゃ悪い。まあ、お詫びに金貨を置いて行ったから許してくれ」

「どうせ価値はゲーセンのメダルにも劣るんでしょ?」

「いやいや、あれはちょっとした怪我を省略して直してくれる傷薬のつもりなんだから記念硬貨ぐらいはあるって」

 微妙な価値だった。

 バンソウコより価値があるぐらいだろうか。

「小粋な謝り方なのは良いけれども……」

「んー、悪いがフォローしておいてくれ。昔の都和は……そりゃ、結構厄介だったからなあ」

 どういう意味なのだろうか。

 都和はそれを忘れているみたいだが。

「ところで玖乃。お願いがあるんだけど」

「ほえ?」

 なぜ、萌えキャラのようなとぼけた声を出す。

 僕は非難した目を送ると玖乃は嬉しそうに笑う。

 やはり、手強いか?

「……一回僕の家に連れてってくれる?」

「ああ、良いぜ」

 何か条件を出されるかと思ったが素直に返されて僕は驚く。

「良いの?」

 拍子抜けだ。

「別に断る道理もないだろ」

 良いなら良いのだが。

「今から行くつもりか?」

 幸い、晩御飯までにはまだ時間はあるが。

「……またあとで」

 僕は思い留まった。

 僕一人で奇襲しても伽羅には勝てる気がしない。

 それならいっそ、寝ているときに行った方が良さそうだと思ったのだ。

 卑怯でも、僕は勝ちを選びたい。

「そうか。んじゃあ、またな」

 そういって玖乃は横の部屋のドアを開けて、僕の目の前からいなくなるのだった。

 横の部屋って、小夜の部屋なんだが。

 小夜がなんとか玖乃を処理してくれることを祈り、僕は都和のフォローに回ることにした。

「……」

 部屋に戻ると不機嫌そうな表情で迎えられた。

「都和?」

「あれは誰だ?」

 僕は少し考えて。

「女の敵?」

 と答えておいた。

「都和も昔会った事があるらしいけれど覚えている?」

「わからん。が、なんかイラついた」

 散々な言われようだった。まあ不遜ふそんな態度だったので仕方ないか。

 わりと玖乃は猪突猛進なところがあるのも考えようだ。

「悪気はなかったみたいだから許してあげてね」

「むー、まあ周がそう言うなら許す」

 許されたらしい。切り替えが早い。

「それはそうとさ」

「なに?」

「今朝、なんであんなにキスをしてきたんだ?」

「……」

 朝の出来ごとをどうやら覚えているらしい。

 そりゃそうか。

「えっと……僕はキスしないと能力が使えないんだよ」

「能力?」

 そこから説明しないといけないのか。

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