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妹と伽羅が黒幕だとすると手強いだろうな。
とりあえず、移動は玖乃を当てにしないといけないだろうが……うーむ、果たして玖乃が素直に僕の頼みを聞いてくれるか。
そこが課題だな。
「ところで周さん。外出してきたお土産があるので私の部屋に行きましょう?」
「なに買ったの?」
「内緒です!」
今はとりあえず、深くは考えないでおこう。裏千華のことも気になるし。
寮の二階に上り、小夜の部屋の前。
「どうしました?」
ふと、メールを思い出す。
あれは勿論、伽羅にあったから回避されたんだよね?
ここで強引に逃げるのも悪いので僕は警戒しながら中に入った。
部屋の中は変わりない。
「あ、ベッドに座って目を閉じていただいても良いですか?」
「ぐっ……」
これが狙ってのことなのならば僕は最初から積んでいたみたいだ。
僕は座る。
そして目を閉じる。
拳を作り、押し倒して来たときに備える。
「ふー……っ」
深呼吸し、覚悟完了。歯を食いしばる。
さあ! どうした。早く来てくれ! 僕に!
来ないのならこちらから行くぞ! どうだ!
「周さん……私ってそんなに信用ないです?」
呆れと悲しみが混じっていた。
僕は予防線を張っておくことにした。
「そうだね。いやらしいことしないもんね」
小夜はそれを聞いて僕を後ろから抱きしめてくる。
「周さんが良かったら……し、してみます?」