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軽く僕があしらうと、それだけで笑うのだった。
「ところで都和は?」
「見てましたが、午前中はずっとベッドから起きなくてお昼には治りました。なので午後は一緒に晩御飯の食材を買いに行ってきました」
伽羅だと感じたのだが単純に勘違いだったのだろうか。それとも、伽羅も都和の身体を操ろうとしたのだろうか。
反転以外にも天想代力が入りやすいのでどうにかしてあげないといけないと思う。
方法は思いつかないけれど。
「ところで玖乃は?」
「……」
「黙らないでよ」
重要人物なわりには小夜にも楔にも苦手に思われている辺りさすがだと思う。
悪い人ではないけれども。
「そんなことよりも周さんデートしましょう!」
小夜は小夜でマイペースだった。
「晩御飯まで時間がないでしょうが……それに用意があるでしょう?」
「都和にお願いしましたからいいんです!」
それにしても案外都和と仲が良いのに驚く。
まあ、小夜はこれでも年上で面倒見が良さそうだからか。
「どうしよっか?」
僕は切り替えて小夜に提案。
小夜は僕に抱きついたまま跳ねる。
その姿を見てふと重なる。
腹違いの妹と。
そして、伽羅が言っていた十年間の意味と。
頭の中で嫌な予感が走って結ばれていく。
確認しなければいけない。
しかし電話では駄目だろうし、一人では駄目だろう。
わりと黒幕っぽい気がしてきた。