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「すまないのじゃ……」
と思ったら姫城さんだった。
目の色が変わっていても人格が変わっていないこともあるのでややこしい。
「謝ったってことはどういうことですか?」
僕は姫城さんに聞きながら拘束に対しての抵抗を諦めていた。
女性とは言えさすがに三人がかりでは脱出は難しいためだ。そういえば柔道なんかで下にいる方は体力が奪われやすいんだっけ。
「ううむ……」
なぜか口ごもる。
楔はなんとなく察したようだった。
「わかりました。とりあえず偶然にも天想代力が暴走したようですね」
「……」
姫城さんは小さく頷く。
「そうは言っても私も周も天想代力が十分に使えないですので……千華を呼びますか」
「待った」
僕は天想代力を使い、さっきまで立っていた空間にするりと動いた。
「え?」
僕が天想代力が使えることが意外だったようだ。
楔も十分に使えるんだぞって言いかけたが、やめておいた。
無論、保身だ。
「ひぃう!?」
だが残念ながら天想代力を使って抜け出したところで僕は三人にまた抑え込まれた。
今度はうつ伏せになるように組み敷かれてしまう。
どうも命令は中々消えないらしい
「包帯を取れば良いのじゃが……」
弱々しい声。楔が安全確認しながら取ろうとするも、抵抗があって困難であった。うーむ、力が強そうだ。
どうやら、一に包帯を気にして二に僕の拘束を目的にしているらしい。
「どうする?」
楔の声。
それは千華を呼ぶか呼ばないかのことだろう。