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そういった楔はどこか満足そうだった。
さすがに僕の今の恰好は擁護しきれないので言い返せず、罵声を受け入れるしかなかった。
「周はどうしてここにいるの? 私に二年ぶりに会いに来たとしては愚かな方法だけども」
会いに来るだけで転入してたまるか。
「まさか、呪われたの?」
性転換がバッドスキルなら確かに呪われたようだ。呪詛返ししたら都和が男にでもなるのだろうか。僕がこんなに苦労しているのだから少し見たい気もする。
「実はだけど……」
「待って」
そういって、楔は僕の腰回りを撫で始める。
次に喉に触れられ、下腹部を撫でられ、胸をたっぷりと触られた。
性的に身体を触っているわけではないので僕は身体を強張らせ我慢した。
セクハラになりつつある長い触診の結果、僕がここにいることに気付いたらしい。
僕に目を合わせ、こう切り出す。
「ブラジャーしてないの?」
「そ、そうじゃなくて……」
思わず弱つっこみ。
問題点はそこじゃない。
「女の子になっているのね」
「そういうこと」
こんなに触らなくても二年ぶりにあった僕の声が高くなったところとか、若干背が低くなっているとことか、筋肉の付き方の違いで気付いて欲しいものだ。観察力は高いくせに確認をしっかり取るところは昔と変わらない。とはいっても、僕が女の子に間違われるたびにすごく不機嫌にしていたからこそ配慮してくれたのかもしれない。