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「えー、あー」
なんとか言語化を試みる僕と、なんとかキスをしようとする伽羅。
僕の能力の人格とすれば補給したいのだろうか。
キスだけで回復って割り切れば結構優秀な気もしないでもないが。
「なにをしているんだか」
この奇妙な関係に水を差したのは玖乃だった。
玖乃?
「なんでここにいるの?」
「そりゃ、制服返せって言ったじゃないか。やれやれ、この悪友と言ったら自分の言ったことに責任を持てないらしいぜ」
「来れないって言ってたのに?
「まあ、何度かアクセスしたら来れたわ」
軽い。何か裏があると見せかけて能力の失敗だったのか。
というか着てるの僕の制服じゃないだろうか。
「返したとして、どうやって帰るの?」
「そりゃ、周の服を一着持っていくさ」
なぜ等価交換する。
頭が痛くなってきた。
伽羅は伽羅でハグしてくるし。もう勝手にして欲しい。
収束がつかない。
小夜辺りがこの空気をどうにかしてくれないだろうか。
「ところで周、こいつ誰だ?」
指さすなよ。
伽羅だって言おうとして僕は口を口で塞がれる。
「んぃ」
やばい、一瞬で心が負けそうになった。
「おい、私も混ぜろ!」
お前はカオスな状況に油をまき散らかしに来たのか!
「とりあえず、座らせて……」
僕は折角回復した天想代力を吐きださないと僕は伽羅の拘束から逃げられないのだった。