145
姿勢を無意識に整えた都和のせいで顔が近づき、僕も無意識にそのまま唇を合わせてしまった。
「……ん」
小さなうめき声をあげたのはどっちかもわからず、優しい味に僕は溺れる。
離れるという気にはなれなかったし、都和も寝ていたので僕らのキスは続く。
満たされる多幸感に浸る。これが天想代力を得ることなのだろうか。
幼いときの僕はキス魔だったと小夜が言うが、これだったら仕方ないと思う。
「んむ……?」
都和がゆっくり目を開けて僕と目が合ってもやめられずにいた。
軽い抵抗も僕は手で制する。
顔を背けようとしてもついて行く。
無理やりなキスに都和は観念したように服の中に手を伸ばして直接僕の胸を触り始める。
「……待った」
強い意志で唇を離す。
「違った?」
「違います!」
といって口で否定しても、僕は都和の唇を凝視していた。
唾液で濡れていて、官能的で拒否なんて出来ない。
「周なら良いかなーって。それに同性はノーカウントだし」
そういって、顔を近づけてきた。
否定したいのに、空腹時に餌を前にした肉食獣のように求めてしまう。
都和はそれを優しく受け入れる。それどころか僕の身体を抱きしめ、頭を撫でた。
蕩ける。
そうやって惚けていると。目覚ましが鳴った。
都和はそれを終わりの合図にするべく身動きするが僕はまた制止する。
「んんっ……」
こんなことを繰り返していると僕はベッドから落とされた。