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 懐かしい夢を見ていた気がする。

 それでいてとても温かな思い出だ。

 どうして伽羅きゃらはいなくなってしまったのだ。

 不満なんてなかったというのに。

 僕にミックスされたとでも言うのだろうか。

 再現は上手く出来ないけれども断片的な思い出が僕を不安にさせる。

「……起きるか」

 僕は目を開ける。

 部屋の明かりは点いていて、ぼんやりとした頭に中々状況は入らない。

 それでも、身体の上に重みがあって僕は視線を下にする。

 楔だった。

「えぇ……」

 一つのベッドに。

 一つの掛け布団に。

 二人。

 洒落にならん。

「あれ?」

 楔は目を覚ます。そして意外なセリフを言う。

「なんで周が私の布団に……」

「な、なんででしょう?」

 僕は曖昧に笑いかけてみた。

「きゃあぁあああああああああ!」

 なんて悲鳴を楔がすることはなく、小さな伸びをしつつ僕から離れて横に座る。

「女の子が知りたくなったとか?」

 いやらしい笑みだった。だがひどく安心した。

「楔はどこまで覚えてるの?」

「お風呂の途中までは覚えていますけど」

 干渉に乗っ取られていたときのことは覚えていないらしい。

「まあ、良いでしょう。んー、今は五時ですか……普段はもう少しだけ寝ていても良いのですが身体が軽いので起きるとしましょうかね」

 立ち上がろうとした楔の服の端を思わず掴んでしまった。

「なあにこれは?」

 からかうように笑うが僕にもよくわからない。

 なのですぐに手を離した。替わりに僕は口を開ける。

「少しお話しても良い?」

「ええ、私で良ければ」

「楔は……」

 何かを言おうとして僕はわからなくなって次が出てこなくなった。

「どうしました?」

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