表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/210

134

 出来るだけ丁寧に洗うことにする。

 視界の半分くらいは目の毒なので髪と手元に集中。柔らかい髪質は手入れがきっと行き届いているためだろう。

「上手じゃの」

「そんなことないですよ」

 当然お世辞だろう。

 姫城さんの髪を洗う人なんて熟練者ばっかりなのだから。

 洗われ慣れているのか、姫城さんは特に身動きしない。

 ちらりと楔を見ると僕を見てにこりと笑う。

「……」

 見ておいてなんだが、少しは隠してくれませんか。

「……はい、おしまい」

 痒いところも聞かずに僕は流した。

「んむ、次じゃの」

「次?」

「もう一度シャンプーしてトリートメントじゃろ? そして身体も洗って欲しいのじゃ」

 僕は視線で楔に助けを求める。

 情けないがさすがに耐性がないのでこの刺激はつらい。それに天想代力がわがままでいつ僕はキスしに行くかわからないので僕は湯船に逃げた。

 二人に背を向け、精神を落ち着かせる。

 深呼吸。

 ゆっくりと息を吸って吐く。

 何度も繰り返したが、二人の甘い声に邪魔されて上手くいかなかった。

 それでもなんとか落ち着いたので風呂から上がろうとして。

「へ?」

 両足を掴まれた。濁り湯のため詳細はわからないが明らかに手の感触だ。

 咄嗟に僕は足を引く。

 だが、まるで動かなかった。ピクリともしない。無駄に力を入れるとこちらがまいりそうだ。

 軽くホラー。

「はい、終わりましたよ」

「うむ、ありがとうじゃ。少し喉が渇いたから早めに上がることにするかの」

「そうですね。私も上がりましょうかね」

 ちらりと僕を見る楔。

 目が合う。

 僕は困った表情をしていたと思う。

「……すみませんが、もう少しだけ湯船に浸かることにします。あとで髪の毛を乾かすので部屋で待っていて下さい」

「わかったのじゃ。すまんが頼むの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ