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都和は笑った。
はずだ。
口角を上げたのだが、すぐに僕の横をすり抜けて行ってしまったのでよくわからなかった。
「お、行こうぜ?」
しこりにならなければ良いが。
そう思いつつ、苦笑しながらも僕は都和と一緒に食堂に行った。
「……んっ」
なぜか小夜が無駄に僕に対して構えていた。
席はいつも通り端なのだが、千華がすでにその横に座っている。
よくわからないが、僕は千華の横に座ることにした。
「こんばんは、周様」
柔らかい笑みで迎えられた。とりあえず軽く会釈する。
裏千華の話を切り出したいが今ここでする話ではないだろう。それでもアポイントメントを取ろうと考えていると食事が運ばれてきた。
カレーと、揚げ物だった。
女性らしさよりも男性らしい多さだった。
「腕によりを戻して作ったっす!」
よりはかけてくれと僕はつっこまず、楔からカレーの皿を受け取る。
揚げ物は肉もそうだが野菜も多い。
健康的なのかわからないが、羽衣の横の楔が微妙な表情をしていたので油が気になるのかもしれない。
「ん?」
皿を回されてきたところで遅れて入ってきたのは姫城さんだった。
今日も来てくれたらしい。
僕が不思議そうに見ていると都和の前に座り僕に一言。
「私用じゃ」
都和に対してだろうか。
それにしては少し顔が赤いのはなぜだろうか。
お風呂にでも入ったのだろうか。
「はいはいー、皆さん行き届いたっすか? では、手を上げてお手を拝借して頂きますっす!」
変な言い回しに皆それぞれふんわりと食に感謝し、口に運んだ。
カレーはどことなく田舎のカレーが思い浮かんだ。
所謂、さらさらのスープではなくどろどろとしていて味が濃く、野菜が沢山入っていて美味しい。
「おい」
僕の目の前に座ったちいろが乱暴に聞いてくる。
「辛くはないか?」
乱暴だが優しい。
大分言葉遣いで損しているがそれでももてているので何にも言わないでおこう。
「大丈夫だよ。丁度良い感じ。このカレー中辛?」
「中辛に人によって多少スパイスで辛くしているくらいだ。幸い、寮にはあんまり辛いの苦手なのはいねーからな」
ふと目があった姫城さんのカレーの色は他の人に比べて違う気がした。
「……言いたいのなら何でも言うのじゃ」
「ロリ会長は甘口なんですか?」
挑戦的な都和だった。
無言で睨まれていたが都和は気にせず食事を続けるのだった。