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メールを受信した。
僕は重い身体を起こし画面を見る。
あのあと、結局そのまま運転手が来て寮まで送ってくれた。
小夜は僕を押し倒しまでしたくせにその後は僕に対して何のアクションもなかった。
消化不良。
別に期待していないし、求めていないけれども肩すかしだ。
現在、寮の入り口のソファーで横になり都和を待っていたところだったのだが都和から意外なメールが届いた。
部屋にいる。
「いたのか……」
ノックすれば良かったか。
僕は身体を起こしたところで楔と目があった。
「戻ったかと思いましたよ」
色気のないメイド服を羽織りそんなことを言う。
眼鏡の奥の目は疲労していた。
「簡単に戻れれば苦労しませんて。この服は小夜に買ってもらいました」
「女になって男装するってどんな気持ちなのか演劇をする上で聞きたいわ」
「別に男装じゃないし……これでも制服着ているよりも心は安らぐよ」
「そう」
あんまり興味なさそうだった。
「ところで、さっき玖乃に会いました」
「……」
嫌そうな表情をされるのだった。
玖乃は楔のことを評価しているが、楔からの評価は散々だった。
「何があったかは聞きたくありません」
笑顔でシャットアウトされた。
そんなにか。
「わりと重要なことだと思うけれど」
「嫌です。あの人、私の後輩の子に手を出したことあるんですから」
名前ですら呼ばれないのだった。
僕は話をすることを諦めて、晩御飯を楽しみにすると言って部屋に戻ろうとすると意外なことを言われた。
「今日は私は作りませんよ」
「おろ」
「ちいろと羽衣の罰ゲーム組みです」
昨日の王様ゲームで何かあったのだろうか。
まあいい。
この格好は好きだが、他の人に説明しないといけないので一旦部屋に戻って着がえ直すか。