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 ここで、僕は気圧けおされた。

 キミではなく、都和に。

「何をしている」

 いや、キミに倣えば。

 反転の概念だろう。

「気に行ったから俺様の物にしようとしている」 

 正直なキミは反転と相対する。

 するとゆっくり、まるでキミがいないかのように反転は僕に近寄ってきた。

「僕は咄嗟に構える」

 なんですか。

「後ろに半歩下がる。後ろには逃げ場など無いのに。それは恐怖なのだろうか」

 え、なにこれは。

「僕は抵抗することなく、壁に追いつめられていた」

「言語、思考の表出の反転。不意にこうされて自由に動けるはずではない。千華に勝ったところで裏千華に勝ったわけではないことを忘れないように」

 視線が一度離れたところで僕は呼吸を忘れていたことに気付く。慌てて息を吸うと、ひどくムセて僕は膝を着く羽目になった。

 さすがにラスボスなだけあってか、今のレベルで勝てる気がしない。

 レベル上げをしたところで勝てるかもわからないが。

 反転は振り返ると、キミに視線を向けて強い口調で言った。

「勝手なことをしては困る」

「俺様は好きなことしかしない」

「……」

 反転は押し黙り、唇がかすかに動いたところでキミが制する。

「強要。俺様に害を為すことをするな」

「……面倒だ」

 さっきとは一転、頼もし過ぎた。

「一つ、周に言っておく。私は周の味方だ。だからこそ、今は動かないで欲しい」

「し、信用できない」

 なぜ、僕の味方なのか。

 なぜ、僕にマーキングをしたのか。

 なぜ。

 僕を。

 この学園に入れたのか。

「二週間我慢しろと裏千華は言った通りだ。それで終わる」

 僕は震える足に力を入れて立ち上がる。

「……どういうこと」

「周は男に戻すし、都和の身体は……そうだな命の危機以外は出ないことにする」

「説明がないのに納得できるとでも?」

 反転は一つ、呼吸をして。

「動くな」

 僕に強く命令し、都和の部屋に入って行った。

 鍵がかかっているのにも関わらず、能力を使ってかすぐにドアの奥に消えた。

 慌てて僕は追いかけるも鍵は閉まっている。

「よく追おうとしたな」

 キミが僕の顔を覗いてくる。

「僕の目的達成のためには必要だからね」

 キミは小さく口笛を鳴らし、僕を褒めた。

「ところで」

 キミは僕にぐいっと近寄る。ここで押されたら、足に力が入らないので倒れそうだ。

「男か」

「ぐっ……」

 別に強く隠してはいないが、なにかいやらしく笑われて不安になった。

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