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「しつこいー」
突き返せれた。
強要と言う割には誰よりも強制力は弱い。
「くっ、俺様のものになれば甘い汁を吸えたのに!」
なんだ甘い汁って。
離れた隙に僕は身だしなみを整える。
髪の毛が生乾きだが、キミに隙を見せたくないので僕はそのまま脱衣所を出た。
「なあ、髪を乾かさなくていいのか?」
「良いの。ついてこないで」
戦う必要性を感じないので、出来るだけリスクを下げるべく逃走。
といってもどこに逃げればいいのだろうか。
困ったときの都和の部屋だが、鍵が閉まっていた。
「鍵は?」
嬉しそうなキミ。
都和の部屋は端なので、追い詰められている気がする。
「!」
場所の優位性に気付かれたっぽい。
「えーっと、そうだ。昨日、僕は反転の概念にマーキングされたよ」
「それが?」
にじり寄るキミ。
「縄張り争いはないの!?」
「マーキングされてないからな」
ん。
それはどういうことだろう。確かに昨日僕はされたはずなんだが。
それはそれで喜ばしいのか。
「隙あり!」
力で敵わない思うと、僕の意識の隙を狙って飛びつくようにキスを迫ってきた。
「え、あ?」
僕の能力補給のせいか。咄嗟だったためか僕は受け入れてしまった。
「ぷはっ!」
といっても、唇がぶつかったぐらいでなんの色気もない。むしろ痛いだけだったそれを終え、僕は自己嫌悪。
「はあ……」
「んん?」
首を傾げられた。失礼な。
「んー! キスをしろ!!」