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「ふふっふー」
脱衣所に戻ってきて元気なキミに項垂れる僕。
「なんだ、元気ないな!」
「キミの性です……」
「照れる」
照れられても困るだけだ。
「ところで強要の概念さん」
僕は自分の身体を拭きあげ、スパッツを履いたところで尋ねてみる。
「んあ?」
「強要ってどういうこと?」
「んー、よくわからん!」
「そういえばさっき不発してましたね」
十八禁な展開になるところでしたので不発して良かったです。
いや、キミの場合はならないか。
「身体を拭け!」
バスタオルを渡してくる。まだ身体が濡れているのか。
「……自分でしなさい」
突き返す。
やっぱり、強要されない。この子弱いのだろうか。
「んー、戻れ!」
そう思っているとキミは突然吠えた。すると、いつの間にか制服に着替え終わっていた。なんとも便利だ。
「よし!」
まさか無機物に反応するのか。
中々使い勝手が良さそうだが。
「さて、身体も綺麗になったし頂くぞ!」
僕が制服を再度着ていると、横からいきなり押された。
倒れかかるがなんとか踏みとどまる。
「危ないって」
「俺様のものにしてやる!」
「どうやってさ」
「知らないのか。天想代力が移るときは粘液交換だ」
まさかキスをするのか。
「待って。なんで僕の身体に入ろうとするのさ! 姫城さんのところにいなさい」
「魅力的な家に住みたい!」
褒められても嬉しくない。というか僕は物件かよ。
「見たところお前は目覚めたばかりで誰も中にいないから俺様が頂く!」
「どういうシステムなのさ!」
「天想代力がないやつに俺様たちは移れない。だが、天想代力が多少あるやつには移れる。最初にマーキングするだけで俺様はお前の中にいつでも入れるようになる」
ということはキスされたら終わりなのか。
「くっ!」
顔を近寄せてくる。僕はそれを回避する。
「んー!」