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「はははは」
嬉しそうで何よりだ。ところどころ頭の洗い方を指導しているのだが、返事が生返事のため活かされない気がする。まあ、次はないだろうし良いか。
「一つ聞くけれども、キミの目的ってなんなの?」
「目的?」
「えっと、姫城さんの中にいるのってキミになんのメリットがあるの?」
じーっと僕を見つめてくる。今度は身体ごと。首から上しか見ないように気を付けているのであんまり迂闊に動いて欲しくない。
それにしてもシャンプー中に目をしっかり開けているのもすごいと思う。
「そうだな。俺様個人のメリットはないって言ってみよう」
「遠まわしな言い方はやめて」
「あぶぶぶぶぶぶ」
シャワーをキミの顔にかける。その後、髪を洗い流していく。
「なにをする!」
「冗談ですよ」
「むー、俺様にはよくわからん」
「話を戻すけれども、どうして天想代力ってあるの?」
「俺様も難しい話でよくわからんが、世界に求める……なんだっけ?」
首を傾げて僕に言われても僕はわからないって。
「ざっくばらんに言って、いるだけでキミにメリットがあるの?」
「そうらしい」
らしいって。
駄目だこの子。
だが、この能力自体はシステム化されている印象を受けた。
予測だが人の願いを吸い取って利益を得るシステムなんだろう。そして、おそらく別世界の人なんだろう。だが、なぜそんなシステムなんだ。
「終わった!」
ぼーっと頭の泡を流していたところしびれを聞かせたキミは立ち上がる。
「今度は身体をしろ!」
近づいてくるのを僕は肩を掴み静止させる。
「ほら、こうだろ!」
そう言ってシャンプーの半分を手刀で切り捨てると、身体に振りまいた。
思わず頭を抱える。
「洗え!」
「ちょっと、どこ触らせる気なの!? ちょ、やぁああ……!!」
このあと、僕は触らせられるといったセクハラを受けるのだった。




