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僕の許可もなく、後ろから僕のお腹周りに手を回された。
別に良いけれども。
「とりあえず、これ飲みなさい。足がふらついているんだから」
「にへへ」
心配されるのが嬉しかったのか笑顔のまま小夜は水を飲んだ。
ペットボトルの大体三分の一が減ったところで、口から離して床に置くと僕をベッドに引きずろうとする。
おそらく、度が過ぎるようなことは先程釘を刺したのでないだろう。
少しだけ付き合ってあげるべく、添い寝する。
「僕の天想代力なんだけど、結局なんなの?」
「昔あったときは……ふぁあ」
眠そうにあくびされた。
つられて眠くなることはないけれども。
「すみません……周さんの能力は再現ですぅ……」
ねむねむだった。
さっきまでそんなことはなかったはずなのに。
まさか、あの水に何か入っていたのだろうか。
「再現って、どういうこと?」
「……」
完全に寝てしまった。
軽く揺さぶったり、脇腹を軽く触ってみたが起きることは無かった。
穏やかな寝息と、あまりにも満足そうな表情を浮かべているので僕は無理に起こそうとは思わなかった。代わりに少しだけ僕は小夜の近くにいることに決めたのだった。
「再現性か」
繰り返して事象が起こせると言うことなのだろうか。
例えば、サイコロの目を必ず固定するとか。
「詳しく聞かないと能力がよくわかんないな」