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勇者が英雄に変わる瞬間  作者: しろたん
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4

次の日の朝に朝食にみんなで集合した時、何かおかしかった。約二名ほど、とてつもなくボロボロなんです。


「無坂君、早川君、大丈夫ですか?なんか、すごく疲れていますけど…先生心配で…」


「先生、大丈夫です。昨日の夜に二人で会話をしていたら朝で眠いだけです。」


「そ、そうですか…気をつけてくださいよ。」


「はい、わかりました。」


結局、昨日はあの後、日が登るまでやっていた。しかし、怪我はしないとはいっても魔力が切れかけたりしてヤバかった。主に瞬が…それでちょくちょく、休憩を挟みながらやっていたら朝方、瞬の魔力が切れたからやめた。結局6時間くらいやっていたから疲れ過ぎて死ぬかと思った。朝の訓練が終わったらとりあえず寝ると二人で決めた。

瞬など、寝ながら食べてる。隣に座っている中山が凄い心配している。

結局あれから、レベルが二人共4上がった。おそらく俺のスキルが関係していると思うが上がる速度が早い。

確か、基礎を叩き込んだらダンジョンでレベル上げを行うと言っていた。やはり、魔物を倒した方が経験値が入るのだろう。

正直、楽しみだが怖いな…日本では人や動物を殺したりしたことがなかったからな。当たり前だが…

朝の訓練というのは何をするのか、おそらく、ずっと模擬戦はないだろう。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「さて、今日から訓練を始めるぞ!一応、練習用の剣を用意したからそれを使え、だいたい同じのを用意したから安心しろ。」


まあ、確かにいざという時にボロボロだったら終わりだからな。


「まずは基礎練からだ。全員、走れ!!!」


まさかの走りからだった。

騎士団の人達について行って走るだけだが、どんだけ走るか、怖い。

一時間程走ってやっと終わった。結局、最後まで残ったのは俺と瞬と神崎と堂本だけだった。黒木はちょっと遅れただけだが中山は最後の方だ。

やはりレベルは大事らしい。瞬はレベル上げのおかげでついて来れたもんだ。


無坂 練 16歳 男

レベル6

体力:150

魔力:150

筋力:600

敏捷:600

耐性:225

運:50

スキル

《心の声》《スキル無効》《統率者》《気配察知》


早川 瞬 16歳 男

レベル5

体力:210

魔力:168

筋力:315

敏捷:252

耐性:210

運:50

スキル

《剣術》《土属性》《身体能力強化》《加速》


他の奴らよりは高いだろう。おそらく、堂本は敏捷が高いのだろう。陸上をやってたくらいだからな。瞬は絶対に神崎より強いだろう。今、瞬が死んでいるのは昨日の夜の疲れだろうな。


「瞬、起きろ。まだ、始まったばっかりだぞ。」


「練、なんでそんなに元気なんだよ。みんなが終わるまで休ませてくれ…」


「知らん。いいから素振りしろ。かわいいメイドさんがこっちを見ているぞ。」


「なにっ!本当か⁉︎」


「あそこから見えるんだよ。確か、あそこには休憩室があったはずだからいつでも見られてるはずだぞ。」


「全然、疲れてなどないぞ!ただ俺は《土属性》だから土と話していたんだ。」


とか言いながら、手を振っている。振り返されたから今は頑張って素振りをしている。もう少し、いい言い訳は見つからなかったのか…土と話すって逆に怖いぞ。ほら、黒木が凄い目で見てるぞ。


それからもう一時間程してから全員、終わった。


「これから、本格的な訓練をするぞ。一人につき一人、騎士をつける。自分合う奴を捜して来い。あと、勇者は副団長のミハエルが教える。以上だ。」


「なんで団長が教えてくれないんですか⁉︎」


反論してるよ…自分が絶対に騎士団長に教えてもらうつもりだったんだな。


「俺は大剣を使う模擬戦はいいが教えることはできない。それにミハエルは一応、《聖属性》が使える。武器も大体一緒だ。」


(俺は《土属性》だからな…)


ん?今、いいことを聞いたかもしれん。大剣で《土属性》とか、ここにもう一人いるじゃないか。それに騎士団長が教えるなら容赦なさそうだからピッタシじゃん。


「わかりました。」


ちょっと、残念そうだな。


(絶対に副団長を倒して、さっさと団長に教わってやる。)


そんなことはなかった…人の親切を簡単に踏みにじるバカだった。


「じゃあ、みんな解散。」


「瞬、お前、騎士団長に教わって来い。」


「なんでだ?練の方が良くないか?」


「騎士団長は《土属性》だ。お前が教わるべきだ。」


「なんだと⁉︎早速、行って来る…団長!自分と組んでください!!!」


行動が早い…まあ、瞬のためになるならいいか。


「なんでだ?理由を言え。」


「だって、《土属性》ですよね⁉︎俺もなんです!それに大剣だし…」


「なんで俺が《土属性》ということを知っている⁇」


ヤバイ…やってしまったかもしれん。俺のスキルがバレるかも…


「城にいるメイドさんに聞きました⁉︎」


なんという言い訳…そしてナイスメイドさん。だが女子がお前を見る目がヤバくなってるぞ…


「そうか、そうか、いいぞ!ばっちり鍛えてやるから覚悟しろ!!!」


「おっす!!!」


バカな師弟関係が生まれた…騎士の皆さんが苦笑いしている。それより俺はどうしよう。まず、両手剣を使っている人っているのか?両手剣は良く言うと大剣とも片手剣とも使えるで悪く言うと中途半端だからな。回避能力に自信があって、盾もいらず、けど大剣は遅いからという理由で両手剣を使うマイナーな持ち主はいるのか?それでキョロキョロと周りを見回していたらなんか、端の方で座っている金髪の女の人がいる。ただ、相当、強いだろう。なんか雰囲気が違う。それによく見れば両手剣を持っている。この人にしたいがまずは情報収集だ。


「騎士団長」


「なんだ?どうした?」


「あそこに座っているのはどんな方ですか?」


「ああ、レイカか…騎士団では大体一人だな。ただ腕は異常だ。俺よりも強いだろう。近衛騎士にその内なるだろう。ただ、態度が悪いからわからないが…騎士団では異端と呼ばれている。あいつは《剣術》《身体強化》《加速》も持って無いのに強い。なんらかのスキルを持っているはずだが、わからない。決して他人に見せることはないからな。それに騎士団のでは新しく入ってきた新人を教育するんだが、あいつ以前、新人をボコボコにしてな、新人が辞めたんだよ。それから誰も教えていなかったはずだ。」


「ありがとうございました。では…」


「ありゃありゃ、あれは完全にいくぞ。」


「なんだと⁉︎早く止めねば!」


「大丈夫ですよ…あいつが本気を出して最終的に勝てない相手はいないんだから。一旦様子を見ましょう。」


「わかった。」


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ねぇ、レイカさん。俺に戦い方を教えてくんない?」


「嫌だ。もう少し、強くなってから来な。」


「ならさ、ここで模擬戦をしてそっちに認められたら俺に教えてれ。力不足だったらまた強くなってから来る」


少しの間、目を合わせていたら、


「いいだろう。そのことを後悔させてやる。」


予想通りだな。挑発すればやると思ったがここまで上手くいくとは思わなかった。かなり周りから注目られてるが…


「じゃあ、やるぞ。この中なら怪我はしない。本気でいくぞ。」


かなり濃い殺気がきた。


「ああ…」


俺も強くなるためだ。出来る限りついて行こう。ステータスではあまり変わらないはずだ。なら、あとは俺自身の覚悟だ。

二人共両手剣だからな。最初っから《心の声》を全開にしないと速攻やられるな…


(一旦、右に二回攻撃からの右にフェイントで左の攻撃で決まるだろう。)


「ふっ」


案の定、右に二回攻撃からの右にフェイントで左の攻撃が来た。


キィン キィン キィィィン


完全に防がれたことに驚いているのか、目を全開に開いている。

本当に《剣術》《身体強化》《加速》を使ってないでこの速さで力強い剣筋か…強いな。

この人と訓練すれば、俺はもっと強くなれる。

そしてレイカは少し距離をとった。


「お前は何者だ。名をなのれ。」


「練だ。無坂 練だ。」


女騎士が笑った。


「お前、面白いな。騎士団に入ってからあんまり期待して無かったんだがこんな強者がいるとは…私はレイカ・シルフエンドだ…これからは本気でいくぞ!」


「当たり前だ。」


(なんで防がれたのか、よくわからないが、次は)


(腹、足からの頭への突き!!!)


キィィィン


腹の攻撃は避け、足は僅かに掠ったが頭への突きは剣の腹で防ぎ、そこから相手の腰の辺りを斬ろうと思ったが避けられた。やはり剣の熟練度が違いすぎる。それにあの危機察知能力が異常だ。俺が剣を振るう時すでに、避けていた。


「剣には着いて来れるが、まだその剣には慣れていないようだな。」


「当たり前だ。まだ、一日しか経ってないんだぞ。」


「なにっ⁉︎ ・・・ 私がお前に教えることに関してはやってやる。お前がどんだけ、強くなるのか見て見たくなった。だが、その前にこの勝負、決着をつけるぞ!」


「お前こそ、逃げんじゃねぇぞ!」


そこから第二ラウンドが始まった。


くそっ

完全に主導権を握られてる。こっちは防ぐのがやっとなのによ。けど、相手が女だからか、瞬と比べて剣があまり力強くない。ならそれを逆手に取ろう。避けることができず、剣で防がなければならない攻撃をするしかない。あいつは読みが異様だからどうにかして一撃を入れないとな…

一つ方法を思いついたが、諸刃の剣なんだよな…最終手段にしよう。それまではギリギリまで粘ろう。


(右右からの突き)


キィンキィン


反撃で足を狙うが全く当たらない。さて、本当にどうするか…こっちは結構ボロボロなのにあっちはまだキラキラしてやがる。なんとしても一撃は入れたいな。あの、もう限界か…という顔がムカつく。今日はいくら粘っても勝てないし、恐らく集中も持たないな…やるしかないか…


(本当によく防ぐな…そろそろ、限界のはずなのに、よく粘る。このままじゃ埒が明かないぞ。ん?なんか雰囲気が変わったぞ。次の攻撃で最後っぽいな…どんな攻撃か、見せてもらおう!

恐らく一撃目は防がれるが、まず腹に突き、それから頭に上段から斬ろう。)


「シッ」


腹に突きを放った。ほとんど剣筋が見えない速さだ…


(こいつ避ける気がないのか?)


その瞬間、ニヤリとした口が見えた。


(これはヤバイ!)


腹に剣が刺さったが練は既に剣を水平に振っていた。


「さっきからチクチク痛めつけやがって全てをまとめて返すぞ!」


(避けられない!急いで剣を抜いて防御しなければ…)


凄い衝撃が剣を伝わってやって来た。なんとか、剣を離さなかったが腹に一撃をもらってしまった。この訓練場ではダメージはそのまま精神にくるので気分が最悪だ。


「今のは狙っていたのか?」


「今さっき思いついたがもう二度とやらねぇ…マジで怖い。」


「当たり前だ。そんなこと怪我しないとわかっていても今までやったことのあるやつなんて見たことがないぞ。」


(こいつは面白いな…こんなに緊張感のある試合は久しぶりだ。あと一回剣を振るうのが限界か…なら…)


「次の一撃が最後だ。」


「言っちまっていいのか?」


「どうせ小細工しても防がれるし、そっちも限界だろ…なら言っても変わらない。いくぞ。」


そして、上段に構えた。


「「ーーーーッ」」


二人同時に剣を振るった。


「クッソ」


練が前のめりに倒れた。


「ふんっ引き分けか…」


ピシッ・・・ピシッピシッ・・・・・・シャーーーン・・・・・・・・・・・


レイカの剣が砕け散った…


「結晶の剣が壊れるのは始めて見たな…」


肩を押さえながら壊れた剣を見ながら言った。


(最後、もしあっちが顔を狙ったら負けてたな…そういえば、一回も顔を狙わなかったな…わたしもまだまだ修行が足りないな。手加減とかもっと強くなってからにしろ。ムカつくな…練か、今度はちゃんと名前で呼ぶか…いや、ないな。女の顔も狙えないやつは名前で呼ばれる資格はない。)


「おい、こいつを担架で運べ!」


周りにいた騎士に命令した。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ここはどこだ…」


「目が覚めましたか?」


なんか白衣を着た女の人に言われた。


「今はいつだ…」


「もう少しで夕方になります。四時間程寝てましたね。」


「そうか、わかった。」


(俺は負けたみたいだな…けど、目標が見つかった。あいつにスキルを使わないで勝ってやる。)


「次は勝つ…」


「そうですか、頑張ってくださいね?」


「・・・今の声に出てたか?」


「ええ、次は勝つですよね。」


「忘れてくれ…あと、これからはあんたの仕事が増えるからよろしく。」


「あんまり、来ないでくださいね?」


「はじめは来るかもしれんが、途中からは連れてくるようになるからな…その点は安心してくれ。世話になったな…じゃあまた。」


「ええ、またね?」


バタン・・・


「ふふふ、本当に負けず嫌いな子ね。けど、すごく強くなる気がするわ。」


よく、騎士で怪我をしているやつが来るから結構、目には自信があるつもりだ。今、近衛騎士とかをやってる奴もしょっちゅう、運ばれて来たものだ…


(さて、仕事に戻りましょうか…けどできれば、仕事は増やさないで欲しいわね。)


・・・・・・・・・・・・・・・・


(一旦、自室に戻るか…)


そんなことを考えて廊下を歩いていたが、問題に気づいた。


(ここはどこだ…場所がわからんぞ。適当に歩いて上の方に行くか…)


そんなことを考えながら、上に上がるための階段を捜し始めた。


(にしても、もう結構上がったのに全然、上があるんだけが…大丈夫か?いっそのこと、窓を割って外に出た方がいいかもしれん、だがそのあとが怖い。はあ、どうするか?)


「こんなところで何をしているんですか?お部屋は逆だと思いますけど…」


そこには第二王女がいた。騎士も連れづに…


「いや、迷っただけだ…ありがとう」


そして、セレスティナの隣を通りすぎると


「そっちは逆ですよ。」


「そうか、すまない。そうだ、ここは普段、人は通らないのか?ここまで誰とも会わなかったんだが…」


「ええ、ここはあまり、通りませんね。」


「そうなのか…なんで、一人で居るんだ?周りの奴らが心配するぞ。」


「たまには一人になりたい時があるんです。」


顔を少し赤くしながら言った。


「いくつか、個人的に聞きたいことがあるんだが、聞いてもいいか?」


「いいですよ。どんなことでしょうか?」


「俺達を召還する時、どんなことを考えた?俺達は家族に会えるかどうかわからない。お前の覚悟を聞きたい。」


びっくりした顔でこっちを見ている。


(この王女は頭が良いからな…俺の言いたいことを理解してるだろうな。)


「私は召還された方の皆さんの気持ちはおそらくできないでしょう。ですが、こちらにも守らなければいけないものがあります。そのためなら自分の全てを犠牲にしても護ります。それが私の覚悟です!」


この王女が初めて本気で声を出したのを見た気がする。この王女が王なら安心なんだけどな…


「わかった。あと、お前は王位を継ぐのか?」


「私の継承権は二位なのでおそらくないでしょう。私は他国の王族かこの国の貴族に嫁ぐでしょう。」


「お前の姉はお前と比べてどうだ?」


「姉はわがままなのでその辺が…」


(口を濁したということはそういうことなんだろうな…)


「次が最後だ。お前はこの国をどう思う?」


「私は・・・よくわかりません。城からほとんど出たことがありませんから…」


「そうか…ありがとう。じゃあな。」


「待って!あなたは何が言いたかったの?」


「お前の父は気をつけておいた方がいい。」


・・・・・・・・・・・・・・・・


第二王女と別れて、ずっと歩いているが全然知っている道にたどり着かない。


(いらんことを口にしてしまった。)


そうだ、《心の声》を聞けば、わかるかも…

最大範囲で探すか…ん?これは王の声だな…


(勇者達の訓練は順調、出来る限り早いうちに準備を完成させなければ、攻められて来た時に対抗手段がない。)


(今はもしかして事務処理をしているのか?)


(なになに、これは研究所からの報告書か、まだ完成はしないか…わしが生きている間に完成できれば、いい。焦っても仕方が無い。もっと売れない奴隷を使えばいいのに…わしが不老不死になれることを夢見て酒を飲むか…)


(研究所、不老不死、なんだ、どういうことだ?売れない奴隷だと…まず、この世界には奴隷制度があるのか?)


(もっと、実験場を増やすべきか…だが全ての都市に一つはあるしのう。研究員と実験材料を増やせばいいのか!早速、取り掛かろう。)


(こいつ、人を使って人体実験してやがる!こんなクズみたいなやつが王をやってる国を俺らや国の奴らは命をかけて護ろうとしているのか…俺は地球に帰るために力をつけていたが魔王を倒して国を救うために強くなろうとしたわけではない。それに、倒してもこいつの部下になるなんて最悪だ。もっと力をつけて誰にも負けないくらい強くなってここを出よう。革命だ。こんな奴が王の国など、俺が滅ぼす。それでこの国を変えよう。

まずは強くなって外の世界を見てそこから仲間を集めよう。・・・あいつらは俺について来てくれるかな。もしかしたら、元クラスメイトと剣を交えるかもしれないのに…俺は・・・)


・・・・・・・・・・・・・・・・


「練、遅かったじゃねぇか!心配したんだぞ!」


「悪りぃ…道に迷った。」


「・・・お前、なんかあったか?」


(!!?)


この時ばかりは親友の恐ろしさを知った。何も隠せないということに…


「実は第二王女にあったんだ。それで俺達を召還した時、どう思ったのか、聞いたんだ。そしたらすげ〜覚悟を持って召還したんだ。と思ったんだよ…」


「・・・それだけじゃないよな?」


「本当に親友だけは敵にしたくないな…」


「お互い様だ。」


「黒木を呼んでも良いか?」


「そんなに大事な話か?」


「まぁ、ただあいつに話さなかったら後が怖いだろ。」


「もう、尻に引かれてるのよ…」


笑ながら、言ってきた。


「付き合ってすらいないだろ。」


「そうだな。じゃあ、俺が呼んで来る。それまでに覚悟を決めておけよ。」


「ああ…」


それからすぐ、黒木を連れて帰って来た…なんで中山がいるんだ?


「もう俺らの統率者なんだから仲間外れはなしだぜ?」


「そうか…まず、何からにするかな…とりあえず、誰にも聞かれたくないんだが、黒木あのスキル使えるか?」


「ええ、何回か、癒沙と試したけど、大丈夫だったわ。」


いつの間にか、名前で呼んでる。

流石にルームメイトなら仲良くなるか…


「じゃあいくわよ…」


『みんな聞こえるかしら?』


『ああ、聞こえる。』


『こっちもだ。』


『私も…』


《念話》

自分が対象とした者の頭に話しかけることができる。距離や人数に制限はなく、魔力の消費量によって変わる。ただ、会ったことのない人には使えない。


『本当に内緒話には便利だな。』


『無駄話はいいから早く話すぞ。実は道に迷ってしょうがないから《心の声》を発動したんだ。そしたら王様の声が聞こえたんだ。簡単に言うと不老不死の力が欲しいから奴隷とかを使って人体実験をしていたわけだ。』


その瞬間、三人の顔が驚愕に変わった。


『俺はそんなことをする奴が王をしている国のために命をかけてまで魔王を倒したくないし強くもなりたくない。それにもし倒しても返してくれないということはこの国か他国へ行かなければならない。この国はそう簡単に他国に行かせてくれるとは思えない。だが、今でもそう簡単にはいかないだろうが、まだ魔界を警戒しなければ、ならない。そうなると捜索にあまり力を入れれないんだ。だからもし、国を変えるために動くにはまだ魔王が存在している時しかないんだ。俺達も勇者の資格がおそらく、あるはずだから魔王を倒すこともできるはずなんだ。特に俺のスキルならな…だから魔王を倒した後、一気に革命を起こしたいんだ。』


みんな、またびっくりしている。


『終わった後にこの国に縛り付けられて戦争をするくらいなら、いっそのこと、この国と戦った方が良い。まぁ、元クラスメイトと斬り合いなるだろうけどな…だからこのことについては強制じゃない。俺はお前らの判断に任せる。』


『・・・・・・・・・・・・・・』


『どっちにしても革命を起こすつもりなんだろ?』


『ああ、まぁな…』


『お前がそう判断したなら俺はお前について行くよ。どうせ、お前が敵になったら俺はお前を斬れないからな…』


『お前、本当にわかって言っているのか?』


『確かに、今はなんもない夢物語だが、今の状態では未来は無いんだから今のことより、未来のことを考えて行動しないとバカだろ。それに後悔したくないからな…』


『私もついて行くわよ。確かに元クラスメイトと斬り合いになるのは嫌だけど、私はあなたを信じてるから…』


『本当に委員長って練のこと、好きだよな…』


『こんな公開処刑みたいなこと、しないでよ!でも、何が相手でも私の愛は勝つんだから!!!』


『私だって負けません。』


『何よ。ヤるの?容赦はしないわよ。』


『気持ちで負けません。』


『無坂君が困ってる時に助けなかった人には負けることはありえないから…』


『おい、今までの会話、全部練に聞こえてるの、わかってるんだよな?』


『当たり前じゃない!!!もう隠すのは辞めたの。』


『お前ら、凄いな…練、どうするんだ?』


『お前らってすごいバカだろ。こんな夢物語について来るなんて…』


『その夢物語を考えちゃう無坂君に言われたくないわ。』


『もし、成功したら俺たちはどうなるんだろうな…』


『王じゃないんですか?』


『そういうんじゃなくてなんかしっくり来るやつないかな…』


『なら英雄はどう?だって魔王を倒して、尚且つ国まで変えるのよ。それが一番良いじゃない?』


『確かにそれがいいかもな。』


中山が首を縦に振っている。


『なら俺たちは勇者から英雄になろう。まだ未来の話だが…俺達の合言葉は勇者から英雄にだな。』


『まずは強くなるために訓練場に行くぞ。話はそれからだ。黒木も中山も来い。ついてこないと置いていくぞ。』


『うん』


『はい』





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