第二章 内なる輝き
第二章 内なる輝き
1,緑の季節
初夏。緑がまぶしい。さわさわと。緑の薫る風が通り過ぎる。
あの事件から、茅子は少し気分が落ち込んでいた。ラピスのことだ。
彼は、自分を助けるために、たくさんの人間を殺めたようだ。楽しそうな声色で。
彼が人間でないと知っているぶん、少し恐くなった。
もしかしたら、人間を殺すのに何の感情もないのかもしれない、と。
あの時のヒカルは、会社には来ているようだが、顔をみない。沢木は、片目を失明したらしい。あの後、茅子の家に来ることもない。見なくなったと思ったら、アジアの支店へ転勤したそうだ。
あれからしばらく、茅子はラピスを呼び出さなかった。時々、夢に彼は現れた。
何も言わずに、切なそうに茅子を見ていた。
ただイヤリングは、何故か手放せず、いつもつけていた。彼は、自分から自由に出てこれないらしい。
いま茅子のいる公園の木々は、下から見上げると、枝の間から日光がさして、葉っぱたちが明るいグリーンに輝いていた。
ふわり、ひらひらと。そのうちの一枚が、輝いた緑色のまま、茅子のひざの上へ静かに着地した。
それは、見るまに形を変えて、小さな少女の姿に変化した。
「はじめまして、私のカヤナイト。」
お人形のような少女は、静かに言った。
「私はペリドット。(内なる輝き)をあらわす石の精です。」
「内なる…輝き……」
「はい。いまのあなたに必要なものです。」
〜続く〜
遅くなり、申し訳ありません。編集のし方が分からなくて時間がかかりました。新しい石の精霊、ペリちゃんの登場です。これからも、どうかよろしく。