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誓い

作者: 那音

すとむみずみといいます。

初投稿です。

青春ラブです。

頑張って書きました。

感想、アドバイスなどいただけると幸いです。

「僕はケンのこと、好きだよ」

 ユウが俺を見て言った。

「俺も! 俺もユウのこと、好きだ! 大好きだ!!」

 俺はユウの目を見て言った。そして互いのくちびるを――。


『リリリリリ』

 目覚ましが俺の耳許でやかましく喚いて、俺を強引に起こした。

「夢か……」

 そう呟いたあと、舌打ちを無意識に鳴らした。ついに夢にユウが出てきた。

 俺とユウは、いわゆる幼馴染みだ。今年で中学2年生になった。中学生になっても、ユウは自分のことを"僕"と言い続けている。それがユウの可愛いところだ。

 2年生になっても、俺とユウは同じクラスになった。それはすごく嬉しい。

 ユウは2年生になってますます可愛くなった。嬉しいが、ユウは今日もクラスの女子と話している。それは嫌なことだ。正直、嫉妬してしまう。

 もちろん、1年の時もよく女子と話していたが、今程ではなかった。ユウは友達が増えただけだよ、と言っていた。けど、俺にとってはそういう問題じゃない。

 とにかくユウが他のやつと話しているのが、我慢できない。


 授業が始まっても、俺はユウのことばかり考えていた。

「坂井! 坂井、聞いてるのか!!」

 担任の柏の声も耳に入らない。

「ケン! 柏が呼んでるぞ」

 後ろの席の友達が教えてくれた。

 俺は慌てて立ち上がる。

「はい! 起きてます」「じゃあ、俺がさっき言った所読んでみろ」

「聞いてませんでした!!」

 クラスじゅうから爆笑がおこる。もちろんユウも。

「もういい、座れ」

 柏は俺を座らせ、別の生徒を指名した。

「よし、じゃあ広田、読んでみろ」

指名されたのはユウだった。

「はい!!」

ユウは元気よく返事をし、席をたって教科書を読み始めた。

「よし、そこまで」

 ユウは読み終わり席につき、俺の方を見て、ニヤリと笑う。

 俺が読めなかったのは、おまえのせいなんだよ。


 結局、6コマの授業で、まともに受けれたものはなかった。


 放課後、俺はユウを誘って、というよりいつものことだが、一緒に帰った。 今日みたいに授業に身が入らないなら、俺とユウの、この中途半端な関係をどうにかしたい。

 そして、帰り道。

「あの……さ、ユウ……」

 ユウは俺の方を向いた。

「なに?」

 ユウがまっすぐに俺の目を見ている。

「いや、なんでもない」

 やっぱり言えなかった。おまえのこと好きだ、なんて簡単に言えるわけない。

「じゃ、僕からも話があるんだ」

 今度はユウが話しかけてきた。

「なんだよ」

 そう言うと、ユウは顔を赤くして、

「僕、僕ね!ケンのこと好きだよ」

 ――!! おどろいた。

 が、聞こえなかったフリをした。

「ねぇ、ケン! 聞いてるの?」

「うるせぇよ」

「むぅ~」 ユウがふくれっ面をした。


 しばらく歩くと、河川敷が見えてきた。昔よくユウと遊んだ河川敷だ。

「ユウ、ちょっと休もうぜ」

「うん」

 俺とユウは芝生に腰を下ろした。

「なぁ、ユウ……さっきの話だけどさ」

 俺はユウを見ずに言った。

「うん……。あ、僕は本気だよ!」

「ほんとに?」

「ほんとにっ!!」

 いつの間にかユウの目は本気になっていた。

 それを確認し、決意を固めた。

「……俺も!」

「えっ?」

 ユウがおどろく。

「俺も、ずっとユウのことが好きだったんだ」

 言ってしまった。

 陽が落ちるのが早く、もうすっかり空は赤くなっている。しばらく俺もユウもなにも喋らなかった。

「……うれしい」

 ユウが呟いた。

「俺もうれしかった。ユウが俺のこと好きって言ってくれた時、ほんとにうれしかった」

 俺の心臓は、まだバクバクと鳴っている。

「……ありがと」

「ユウもありがとな」

 ユウの目がウルウルと揺れている。

「ね、ケン」

「なんだよ」

「……誓って」

「誓う? なにを?」

「一生僕のこと愛すって誓ってよ。僕の目を見て。そしたら僕も誓うから」

 誓い、か。ユウらしいな。

「それとも、そんなこと、誓えない?」

 恥ずかしげなユウは、とても可愛い。

「ぜんぜん。誓ってやるよ」

 できるだけ悟られないように言ったが、内心すごく恥ずかしかった。

 呼吸を整え、 自分に言い聞かす。

 落ち着け、落ち着け、落ち着け……。

 そして、深呼吸をひとつして、言った。

「俺っ、坂井健は、一生ユウを愛します!」

 ただ、恥ずかしかった。

 俺はしゃがみ込んでユウに背中を向けた。

「次は、ユウの番だぞ。……はやく言えよ」

「じゃあ、こっち向いてよ」

 俺は立ち上がり、ユウの方を見た。

 鼓動はまだ落ち着かなかった。

 ユウの目を見れなかった。

 しかし、ユウの言葉を絶対に聞き逃したくなかった。

 さすがのユウも、緊張するんだろうか。

 それとも、俺のドキドキが移ったのか。

 スーッと呼吸音が聞こえた。

「僕、いや、わたし広田友子は、一生ケンを愛します!!」

 俺は、すごく幸せな気持ちになった。

「……ねぇ、ケン」

「なんだよ」

「僕、僕のこと僕って言うの、やめた方がいい?」

「どっちでもいいよ。ユウの好きにすればいい。ユウが僕って言わなくなったからって、俺はユウのこと嫌いになったりしない」

 最後に言おうか迷ったが

「誓っただろ」

 そう付け加えた。


ぼくは昔から男女錯誤ネタを書きたかったので、こういう作品になりました。もうちょっとキャラを掘り下げられればと思ったのですが。


お読みいただきありがとうございました。

もしよければ感想を書いていただきたいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後の終わり方に、キュンときちゃいました(笑) ちなみに、私も女子ですが、僕っ娘、いいと思います。(名探偵コナンの、世良 真澄を見て、いいなぁ、と思えるようになりました(笑)) 丁度、「今…
[一言]  はじめまして、沖荒 夢滝先生の企画の参加者兼審査員のユッキーと申します。  早速ですが感想に移らせていただきますね。  全体的に文のリズム感としてすごくいいです。しかも途中にコメディー要…
2011/11/30 19:44 退会済み
管理
[一言] ごめんなさい
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