先輩への想い
雪さんのニコッと笑った笑顔を見て僕はドキっとしてしまった。普段素っ気ない雪さんが横で笑っている顔を見ると可愛いと思い真っ直ぐ雪さんの顔を見られなくなっていた。自分の顔が真っ赤になっているのが自分でも分かるくらい照れてしまった。
「武尊君どうしたの? なんか顔赤いけど調子悪い?」
雪さんに心配されて僕は慌てて目を逸らした。
「全然大丈夫だよ。気にしないで」
「? 変なの」
雪さんは僕がどうしたのか分からずに前を向いて歩き続けた。
「雪さん足は平気?」
「うん。歩く分には大丈夫そう。まあしばらく部活休まないといけないかもだけど」
雪さんは部活が好きなんだなって話を聞いて思ったが一日も早く回復すると良いなと思った。僕も部活が出来なくなったら落ち込むと思うし気持ちが理解できた。
「捻挫だったらそんなに長引かないと思うし、またすぐにバスケできるよ。試合も近いと不安になっちゃうよね」
「うん。先輩のためにも大会勝ちたいから」
雪さんはレギュラーに決まっているし三年の先輩たちにとって最後の大会になってしまうし先輩たちのためにも勝ちたいと思う気持ちは僕と同じだと思った。
雪さんは下を向き悲しそうな顔をしていた。
「うん。気持ち分かるよ。三年の先輩との付き合いは長くないけど一緒に強くなる為に練習してたら一緒に勝ちたいって思うよね」
僕に出来る限りの励ましをした。雪さんは責任感も強く優しいからこそ背負ってしまっているところもあるんだと感じた。
「私も三年の先輩との時間は短いけどたくさん支えてもらって励ましてもらって練習にも取り組めた。苦しくても続けられた。だからこそ先輩に後を任せられるって思って欲しいんだ」
雪さんは力強く伝えてくれた。僕はベンチだけどそれでも先輩にはたくさん支えて辛い練習にも耐えられたからこそ勝ちたいという気持ちは痛いほどに理解ができた。
「そうだね。その気持ちめちゃくちゃ分かる。僕も同じだよ。自分に出来る限り一生懸命頑張って先輩を安心させたいよね」
雪さんは力強く頷いた。
「早く治して大会のためにも頑張らないとだよね」
「そうだよ。まずは捻挫を治すためにも安静にしないとね」
僕は雪さんの捻挫が早く治す為にも安静にして欲しいと伝えた。大会前だと焦って無理して悪化したら大会にも出られなくなってしまうかもしれないからこそ今は休む事が大事だと思った。
「そうだね。武尊君ありがとう。湿布をして激しく動かないように気をつけるね」
雪さんが少し元気になってくれた事が僕にとって一番嬉しかった。好きな人には笑っていて欲しいから。
そんな話をしてゆっくり歩いてるうちに雪さんの家の前まで送った。
「武尊君、今日はありがとね。じゃあまたね」
雪さんは玄関の前で手を振ってくれた。
「うん。また学校で会おうね」
僕も手を振り返してから自分の家に向かって歩き出した。




