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【ALICE】─全てが経験値で賄われる世界に落ちた世界。  作者: 御伽ノRe:アル


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78/84

ALICE.78─情報交換。

「とりあえず、これで良いか?」


「ありがとう御座います。助かりました」


俺の書き込みから、そう時間が掛かる事なく─一気にスレッドの勢いが増しては、もう次のスレッドへと切り替わっており…今でも横目で見てる最中でさえ爆発的な速度でレスが付いていっている。


まぁ、そんな掲示板を改めて─電子上で確認しつつ、俺は目の前の…今は安心したのか一息ついている未来達へと視線を移す。







「─状況は、結構切迫している感じなのか?」


「そうですね─。正直に話しますと、何か…突破口が無い限りは、現状の停滞した状況を覆す事も無理でしょう。突破なんてものは、夢のまた夢みたいなものです。私達、聖女の道標全体でも─少なからず、ランクを上げようとは動きました。ですが、トランプ兵達も既に一枚岩では無く…グループ単位で動くようになっています。元々、私達のギルドでの戦い方はグループで纏まっては─単体規模の相手を封じ込めるようにし、殲滅する戦法を取っていました。なので、現状はその戦法が封じられているのもあり─身動きが取れなくなってしまっている状況です。今までやって来れていた事が立ち行かなくなり、今は足踏みをしている最中です。更に、悪い事は重なってしまうものなのでしょうか? 集団戦とは言いましたが、相手方のトランプ兵達の方が全体的に個々の面を切り取っても強いのです。そうなってしまうと、輪を掛けて現状の突破が厳しい物へとなるばかりになってしまっています」


「集団戦─それも個々では無い、正面切っての面と面の戦いになったのか。それも、現状は相手のほうが強い。なるほどな…」


未来の話を聞きつつ、手元に渡された聖女の道標がまとめた、直近の電子情報のレポートを見る。


そこには庭園が解放されてからの一ヶ月に渡る聖女の道標の軌跡がしっかりと記されていた。


だが、どれを切り取ったとしても…内容は暗く明るくないものばかりになってしまっている。


よくよく未来達の顔を覗いてみると、その目の下にはクッキリとしたクマが出来上がっていた。




「─そうなんです。だから、ここまで来てしまったら…遊撃と言う名の局所的にもトランプ兵達を相手取っては突破出来る、そんな存在にしか賭けるしかないまでの状況に陥ってしまっています」


「なるほどな。それで、未来さん達は─その役を俺達に頼みたいということか?」


「…どう、でしょうか?」


そう言っては、未来達は何とも言えない目で俺達を見てくる。


小さな…本当に小さいが、確かに賭けても良いであろう最期の希望に縋るような目で─未来達は、俺達へと視線を今も向けて来ている。


だが…正直な話。


見聞きした情報だけでは分からない部分が未だに多い。


何よりも現状─俺達は動けない状態だ。


それでも、俺とイノリの最終目標は変わらず決まっている。


─そうだ。


その目標の為でもあるならば、この話─。


ある程度の考えと覚悟を持って、俺も口を開く事にする。




「正直に話すとしたら、今現在の状況では判断が出来かねない。だが、出来ない─とは否定を言いはしない。…俺達にとっても、回復を終え次第─庭園に挑む事になるだろう。それならば、正直な話─人数が揃うのならば、今現在までの状況を聞く限りだと渡りに船になるだろう。だが、見過ごせないリスクがある。それは、互いに戦闘をこなして行く中で─電子上での俺達と聖女の道標との認識がどうなるかが分からない部分だ。パーティー機能のように組めるならば話が早いが、今回はギルドとギルドでの話だ。そうなると俺達はパーティーを組んだ時のように、味方と認識し合っては相手にも視界情報が有るのかが重要だ。現状、恐らくだが─ギルド単位だと、そもそもがシステム的にも組めず、互いの判別が不可能なんじゃないか? 最悪、同士討ちの可能性も捨て切れなくなるかも知れないしな」


「確かに、そうですよね…。ですが、そうなるとどうすれば…」


一旦、そこで俺と未来達の間で沈黙が訪れてしまった。


この問題に至っては解決法が無いだろう。


何よりも、それらは人の手には余る問題に思えたからだ。


だが、俺達が悩んでいるのを見ていたかのようにソレは突如として訪れた。







──新機能が更新されました。


──レイド機能。


──詳細はクエスチョンマークから参照をお願いします。


【レイド機能】

庭園及び、現在はALICEの穴にて有効化されております。

ギルド同士での連携が可能となりました。

この機能の追加に伴い、現在運用されておりますパーティー機能の一部機能の縮小化を行いました。


どうぞ、ギルド同士にて今後に向け有効的に活用してください。







「─配慮、か」


「配慮ですか?」


「その…すみません。その、配慮とは何の事でしょうか?」


俺の呟きに信弥と未来が反応していた。


俺の呟きの声が大きい訳では無く、ただ単に急なALICEからの知らせの影響もあって─場が静かになっていたので、聞こえてしまったようだった。




「─ん? いや、それを今更聞くのか? 真理の目によって、ALICEからの影響具合を可視化出来るようになっているんじゃないのか? 真理の目を持っているんだろう? なら、ALICEは常に俺達の意思や傾向を視えていると考えた事は無いのか? そういう風に考えた事位は有るだろう?」


「えっと、私達の会話を…聞いていたと言うことでしょうか?」


「…そんな事が、可能なのですか?」


俺の言葉に二人が顔を見合わせては、強張らせてしまい─果てには、考え込んでしまっていた。


なるほど、ALICEというものに疑念や警戒を覚えたとしても─その、一度繋がってしまっている影響下では簡単に…その呪縛からは抜け出せないということなのだろう。


今も、二人は眉間に皺を寄せては唸り悩んでいる様子だった。




「まぁ、俺からは特に何も言えないが─。そうだな…どこまで、その目を持っていたとしても─認識していては受け止められているかが、俺にはわからない。だから、こうやって…言葉を投げ掛ける事によって、意識的に気付かせる事くらいしか出来ないかも知れないな」


「「……」」


俺の言葉に二人が意味深に向かい合っては頷き、俺へと視線を二人して戻してくる。


これは─あれか?


俺のする、言葉の続きを待っていると言うことか?


なら、俺の立場として提案してみるか─。




「─レイド機能を使ってみないか? そして、可能ならば…俺達の怪我が治るまで待ってくれはしないか? そうしたら、俺達も共に行こう。ここだけの話だが、俺達は最下層を目指しているからな」


「最下層─。えっと、それは…キングの事を目指していると言う事なのでしょうか?」


「…悪いな。正直、俺にもそれは分からない。そして、現状─今はイノリも話せない」


「知らないのではなくて、話せない…なのですね」


そう言って、俺の視線に釣られて信弥と未来もイノリへと視線を向ける。


まぁ、視線を向けられた本人は顔を動かすのもやっとの状態なので…何か受け答えがある訳では無いが意思ある目で俺達を見やった気がする。




「まぁ─もしかしたら、聞いた瞬間に…頭がパーン! って、なるやつかも知れないぞ?」


「「……」」


「冗談じゃないのが怖い所だろ?」


「…はい。それは、良く分かりますよ」


ギョッとした顔で見られたが、俺も軽い冗談で言った訳では無い。


本当に情報を処理しきれないとなる可能性がある事案なのだ。


俺の顔に冗談の色が無いのを察しては、二人とも真剣に頷き返してくれていた。




「なら、賢明な判断だな。きっと、潜っていけば嫌でも分かってくるさ。ポーン達も何かを伝えたかったようだしな」


「…アストラもそのような感じでした」


「なら、今は俺も話せなさそうな部分は話せない。すまないな。俺は、このまま横にならせて貰う」


「…はい。あの、本日はありがとう御座いました」


「私も、お邪魔致しました。色々と申し訳御座いませんでした」


「ああ、構わない。また、様子を見に来てくれ。その時はもう少し、落ち着いて話せるはずだ。─お休み」


俺の言葉を最後にそのまま未来と信弥の二人は小屋から立ち去っていった。


そのまま、彼女らを見送っては隣を見ると─イノリがコクッと頷き、目を閉じては眠りに就いたようだった。


…無理をさせちまったかな。


俺の方も八重森紗奈にメッセージを開いては、現状の状況を簡略に纏め─折り返しては横になる事にした。


「お休み、イノリ…」


そうして、俺達が動けるようになるまで回復するのには結局─一ヶ月近く掛ってしまった。


まずは、少しでも動けるようになり─手始めにし始めた事は普通の日常生活を送る事だった。


目覚めてはイノリと共に食べ、その後はリハビリがてら身体を確認するように動かし─そして、一日を終えては寝てを繰り返していった。


少しずつではあるが、感を取り戻していっている感覚は確かにあった。


そして、庭園の攻略へと向け─準備をするのに始めた生活も2週間は、更に掛かってしまった。


そうして、俺達はやっと本格的に動けるようになったのだった。

御一読頂き、誠に有難う御座います。

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