ALICE.45─本間聖夜【テンプルナイツ】
「なぁんか、ざわついてる感じが気になるんやけど?」
「確かに陽子ちゃんの言う通り、少し…騒々しい感じがしますね」
「…何かあったのか?」
「─ん、聖夜。これを、見ろ。掲示板で、皇居外苑の、スレだ」
「─ホワイトと公安局刑事課一係が共同で攻略に当たっている? …この皇居外苑で?」
「ああ。今は三層を、根城にして、トランプ兵を、狩り尽くす勢いで、移動しながら─倒してる、らしい」
「…それはそれで迷惑な話しやなぁ」
「うーん、どうでしょう? ─いえ。良く調べてみると、そうでも無いようですよ? 狩り場は何故か被らないように動いてるみたいですし、ヘビー層の探索者達の危険死の迫る時や、その助けの声がある際には応じて救援に入っては─手厚く助けてるようです。お陰様でというべきか、ヘビー層の探索者内での人気を一手に獲得してるようですね。やっと、安全な狩り場になったと─皇居外苑の三層を目当てで来るヘビー層の探索者が、より一層増えてるみたいです」
「…それはそれで現金な話しやな」
「俺達の─この下の階層に居るって、事か?」
「…行きたい、のか、聖夜?」
「いや、大地。─それはないよ。俺達はまだまだ実力が足りていない。もう少し、このスキルに身体が振り回されなくなったら、その時こそ降りよう。俺達の命は一つしか無いんだ、慎重過ぎる位が丁度良いはずさ」
「─ああ。それが、一番良い。そして、堅実な近道の、はず」
「何を言ってん! 近道じゃなく、遠回りの間違いやろ。─ただ、まぁ…確実にゴールには辿り着けるだろう道やな」
「それが私達らしくて良いじゃないですか」
「…そうだな。皆、ありがとう! さて、準備して装備の確認をしたら、今日も探索を始めよう。まだまだ、俺達に足りない箇所は多い。1つずつ、粗を潰して確実に攻略をして行こう」
「せやな! ─やったるで!」
陽子の声と共に─静と大地も頷いては、俺達は本日も二層の攻略を始めるのだった。
─右、─左、─そこッ!
避けて、避けて、そして、ここで避けては隙を作ってやれば─。
「そこやでッ!」
陽子のエストックが光り輝やいては一閃。
しっかりと、俺の避けた隙間からトランプ兵の急所を突き貫き通していた。
「─そこですッ!」
俺達の連携を見て、動揺したのか─立ち止まったトランプ兵には静が急接近してはストンッと、剣を薙ぎ払ってはその首を斬り落としていく。
「─ふんッ!」
そして、防御は大地が大盾で全てを受け止めては─跳ね返してくれる。
そして、俺達は慎重に攻めては全てのトランプ兵を倒し終わる。
「よし、戦闘終了だ」
「ふぅ、やりきったわ」
「今のは手応えを感じましたね!」
「ああ」
確かに今の戦闘も含めて連携はある程度噛み合って来ていると言っても良さそうだった。
後は、俺達の癖をもう少し掘り下げて、全員が理解して情報を落とし込んだ時は─その時こそ、三層へと降りる頃だろうと俺は予感し始めていた。
これはきっとスキルとは違い、信頼から生まれいずる予感だと俺は思うのだった。
「ふぅ─」
戦闘中だが、一拍入れてしまう。
思考がどうやら、少しだけ逸れてしまうみたいだ。
─今、俺達の立ち位置というのは確かに不安定だと俺も思う。
確かに今現在─色々と掲示板でも俺達は注目されており、叩かれもすれば、有り難い事にファンも居てくれたりもする。
─だが、俺達の基本的な本質は変わらない。
今出来ることを一歩一歩、最大限に着実に歩む─ただ、それだけだ。
─その道は俺が切り開く!
「─最後ッ!」
スパ─ッ! と、綺麗にトランプ兵を両断出来たと思う。
そして、勢いそのままに─大地の盾で弾かれたトランプ兵を剣で凪いでは、トランプ兵の首を斬り落としていく。
「─戦闘終了。周りの安全は?」
「…大丈夫みたいです」
─ふぅ、大丈夫。
…まだ、大丈夫なはずだ。
─焦る時じゃ無い。
いつかは、そんな時が訪れるかも知れない。
だからこそだ。
今出来る事を最大限に─俺は…俺達は着実にやるだけだ。
─そして、ホワイトと公安局刑事課一係が四層に降りるのと同じく、俺達もある程度、二層での出来る事への目処を消化し終えては三層へと降りる事にした。
四層を狩り場にしているヘビー層の探索者は、俺達が三層に降りる時でも極端に少なかった。
その為、ホワイト達の後釜に俺達は収まるような形で─俺達は3層での救援依頼があれば人助けを並行して行うようになっていった。
そして、副次的な効果なのか─ホワイト達の今までの評価が追い風になったのだろうか?
俺達にとっては何時も通りなのだが─助けてる探索者層が、三層と言う事も重なって、ヘビー層の探索者達を助けている内に、今までの評価が一転しては、すこぶる良くなっていくのを感じていた。
確かに、その通りなのだろうと確信したのは、周囲の目線が変わって─俺達に向けて、友好的にヘビー層の探索者達から挨拶をされるようになってきていたのと、掲示板での評価も一新されていくのを見た時だった。
その時から、本格的に俺達への周囲の対応や評価が変わっていくのを─俺達は肌で感じ取れていくのだった。
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