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【ALICE】─全てが経験値で賄われる世界に落ちた世界。  作者: 御伽ノRe:アル


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ALICE.33─渡会護【刑事部捜査一課】

「ハァハァ…」


─屍のようだと言われても確かにそうだろう。


実際に何名かは、うつ伏せになっては死んだように動いていない。


そして、何名かは、悲願だった地上の空を見上げてはずっと咽び泣き叫んでいる状況だ。


─誰も五月蝿いとは言わない。


いや、言えない。


そんな陳腐な感情は俺達の誰もが抱えてはいなかった。


皆、心は1つだ。


【生きて、帰ってこれた】


これだけに、これのみに、俺達の心は1つに収束されていた。




─何名かは死んでしまった。


経験値の流出が、怪我が治るのが間に合わなく、全損しては死んでしまった。


─一気に死ぬんじゃない。


自分で経験値が減るのを分かりながら、ゆっくりと真綿で首を絞められるように、受け入れらない絶望をその身に一身に受けながら「生きたい! 俺は、私は、僕は、生きたい! 生きたい! 生きたい!!」と、咽び泣きながら、その生命を散らして死んでいった。


最初に死んだ奴は、そんな自分の状況に発狂しながら、最期は暴れ狂うように死んでいった。


そんな光景を何度も、何度も、見ていく内に、俺達の中でも、心が折れる奴は折れて、壊れる奴は皆等しく壊れていった。


─俺達は本当の戦場を知らなかった。


俺達の知った気でいた戦場の悲惨さ等は、あくまでも絵空事の世界だったのだ。


俺達は、ただただ、知っていた気でいただけだった。


それが今更、愚かだったと気付いても全てが遅い。


それすらも考えられない程に、折れては壊れた者達が寄せ集まっているのが、今現在の俺達の現実なのだ。




「渡会くん…」


「…なんですか?」


地上に戻って来れた俺は、直ぐ様、警視庁総監に召集令を出されては、総監の部屋へと休む暇も無く、呼び出されていた。


「─いや、君にこう言うのは酷なのは分かっている。生きて、戻って来てくれてありがとう。しかし、レポート提出後に、部隊を再び再編成して…ALICEの穴へと、潜って…貰いたい」


「…総監は俺に、俺達に、死ね─と、言うのですね?」


「─そうではない」


「…本当、ですか?」


「…渡会くん、すまない。警視庁には、もう既に─力が、無いんだ。誰かがやらねばならない。渡会くん、君には─警視庁の為に…礎になって貰いたい」


「…それが指示としてなら、了解致しました」


「─追って、今回のALICEの穴から生還を果たした彼らにも、同じ事を伝える。渡会くん、君の所属するギルド名は【刑事部捜査一課】だ。二課も同様に編成を済ませている。…すまない、我々にはもう、力が無いのだ。─これが、君がALICEの穴へ潜っていた時から、今現在までの我々の状況だ」


パラパラ─と、総監から渡された資料を捲っていく。


パラパラ─と、捲っては流れていく文字情報は、向上された身体能力の下では容易に読めた。




「─公安局も似たような状況なんですね。ギルド管理庁の紐付き。俺達も似たような物ですか。…それにテンプルナイツ? なんですか、それ?」


「ALICEの適性検査で選ばれたギルド構成員みたいだ。…治安維持も補うらしい」


「…民間人が?」


「そうだ」


「とんだ茶番ですね。─それで、捕縛されて矯正施設に送られた人達は?」


「…矯正プログラムに耐えられない者が多数だったと伝えておく」


「…廃人って、事ですか? 犯罪者でもないのに、ALICEがそう判断を?」


「…いや、我々の関係者だ。暴動で死傷者が双方に出て、その怨恨からだ」


「…碌でも無いですね」


「─面目ない」


「…了解です。とりあえず、身体を綺麗にさせて下さい。後は、俺なりに判断して動かさせて貰います」


「ああ。…頼んだぞ」


「…」


返事はしなかった。


─いや、出来なかった。


それが俺の出来る唯一の抵抗だったからだ。


正義はまだ、俺の下にあるとか、そんな事はもう考えてもいない。


─そんな甘く温い理想は、あの地獄の中で焼かれて逝った。


今は生きる為だ。


その中で、正義を行うならば、それはそれで良いだろう。


俺はそう判断しては、せめて身綺麗になる為にも身体を洗いにと、総監の部屋を退室して行ったのだった。




そして、身体を身綺麗にして現場に戻った俺は─目に再び、仄暗くも光を灯せた同胞が、総監から指示を受けては、折角の光が失われていくのを片目で見ていた。


総監からの有り難いお言葉は、現場を新たな地獄絵図に塗り変えていた。


─自殺を図っては、死んだ者も多数居た。


誰も止めはしなかった。


─いや、出来なかった。


そいつの心が弱いんじゃない。


─心の問題などでは無いのだ。


そんな生温い感情など、あの地獄では関係が無かった。


─そんな理性や感情など置き去りにする程、ただただ、あそこは純粋な地獄だったのだ。




そして、地上に再び起こった地獄を生き残っては、編成された俺の部隊の隊員の目は、皆が皆、死んでいるが生きていた。


─到底、正義を語る組織なんて、端から見ても思えないだろう。


【生きる】


彼らはただ、愚鈍にそれだけを目標に定める。


彼らはただ、それだけを忠実に、心に刻み込んだ戦士だ。


─正義は、その進む道の中で照らされれば良いだけだ。


今はただ、どこまでも拡がる、暗い絶望と地獄の中を─俺は、俺達は、再び歩き始めたのだった。

御一読頂き、誠に有難う御座います。

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