ALICE.32─本間聖夜【テンプルナイツ】
「─皆、良く集まってくれたね」
「当たり前でしょう? 聖夜さんの呼び出しだもの、私達はちゃんと来ますよ」
「せやけど、ほんま─急やで? 静はんも少しは苛立っても、良いんやで?」
「…陽子さん、そんな、イライラするのは、いけない」
「ありがとう、大地。…いや、皆ごめん! けれども、ALICEから─そういう感じのメッセージが直接届いちゃって」
「…ALICEからですか?」
「ああ、うん。…なんか、不思議だよな。システムから個人に直接連絡が来るなんて」
「そんな事、言うてたら─こんなメンバー構成も不思議に思うやろ? 全員、ALICEの適性から選ばれとるんやから」
「…選ばれたと、光栄に思うべき、陽子さん」
「…はいはい、せやなせやな」
─確かに、不思議なものだ。
ここに集められたメンバーは、ギルド管理庁からの仕事の募集へ応募した際の、適性チェックから何故かギルド運営の適性があると見なされたのか、今思ってもイレギュラーだったのだろう─当初、募集されていた仕事外での依頼を、ALICEから直接のオファーがあって集められたメンバーだった。
リーダーはALICEから直接、俺に指定されていたし、サブリーダーは静だった。
その他メンバーとして、陽子と大地が選定されていた。
「…とりあえずは、治安維持と探索をメインにって事やろ?」
若干、関西弁というのを今現在も直してる最中と本人の談だけれども、あれはフザケて話していたら、本人も気付かない所で中途半端に癖になってしまったんだと、俺は思っている。
─まぁ、触れたら怒りそうなので、触れないでいるが、それも仲間を思いやるチームワークの秘訣なのだと俺は割り切っている。
「ああ。俺も、そう聞いている」
「それで、聖夜さん。…いつから探索を行いますか?」
「うん、それは俺も考えてはいたのだけれども。早ければ、明日の朝から行こうかと俺は思っている。皆は、どうだ?」
「ラキア、やったかな? アイツの出た穴は既に攻略済みなんやろ? それやったら、他行かないかんよな?」
「…近くは、新宿御苑。…後は、皇居外苑、だったはず」
「そうだな、大地。とりあえず、どちらかに行こうかと思っている」
「まぁ、やるだけやってみな、分からんよな!」
「ええ、そうですね。私も出来る限りにはなりますが頑張ってみます」
「ああ。皆も、その心構えで頼む。色々とランクアップや、トランプ兵、戦闘補助ツールの話題は上がってはいたし、既にそれらの情報は、ここに纏まっている。出来る限り頑張ってやってみよう」
そう言って、俺は簡略的にもまとめ上げた資料を皆に渡していく。
「─全く、うちらはまだペーペーなのに、ALICEはんは何を考えてるんだか分からへんわ」
「…陽子さん、ALICEの、批判は─」
「大地はん、これは批判じゃなく、意見やで」
「陽子ちゃん、それは言葉を変えただけで、意味合いは似てるような気がします…」
「─はぁ、色々と気にし過ぎてたら生きづらいで、ホンマに」
「今日は皆─集まってくれて、改めて、ありがとう。とりあえず、今日はもう休もう。ALICEのお陰でギルド管理庁内のギルドルームも用意して貰ってるんだ。有効に活用すべきだからね」
「─確かに、そうですね」
「そこだけは、感謝やね」
「…では、俺は、先に、失礼する」
「ああ。皆も、明日は宜しく頼む」
そして、俺達テンプルナイツは明日に備えて各自別れては、休みに就いていく。
─これが、これから俺達に待ち受けるであろう、困難という嵐の前の静けさだったとは、この時の俺達はしっかりと理解出来ている者も、しようとする者も、誰もまだ居なかったのだった。
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