ALICE.2─始まり⇔出会い。
「きゃぁぁぁ!!」と、叫び声が俺の耳元に不快な音として入ってくる。
誰かが飛び降りては、誰かが巻き込まれたようだ。
とりあえず、立ち上がっては煙草を取り出しては一本火を点けて吸う。
「はぁ~。煙草も経験値というやつか。分からん」
とりあえず、首を振ってしまう。
そして、元より俺は世界の爪弾き者に近い。
ALICEからの判定はエラー判定と来たものだ。
とりあえず、職や採点方式等の網は潜り抜けているせいか、まともに働く事なんて出来ない俺は、アングラな仕事しかしてこなかった。
まぁ、煙草も嗜好品だから、アングラな対象なのだけれども。
酒や煙草はALICEから嫌われているらしく、取り締まりの対象にはならないが、それを取り扱う職の斡旋は基本的にされない。
そんな隙間の部分を、俺は潜り込むのに成功しては、生活を立てる事に成功していたが。
「潮時って事かね」
ぷはぁ~と煙草の煙を遊んで吹いてみるが、上手く煙が纏まらなかった。
こんな日は碌でも無い出会いがあるんじゃないかと勘繰ってしまう。
「ねぇ…」
ほら、こんな風に。
「どうした? 嬢ちゃん。こんな路地裏は危ない輩が居るから、お勧めはしないぞ」
「知ってる」
「へぇ、そうかい。なら、俺が煙草を吸い終わるまでには出ていくんだな。ここは俺の寝床でもあるからな」
「ここが? そう…それはごめんなさい」
「って、どこかに行かないのかよ」
「うん。私はアナタに用事が有ってきたのだから」
「へぇ、お客様って事かい?」
「違うけれども、違くはない。頼みに来たの、願いを伝えに」
「はぁ? なら、先に名前くらいは名乗れ」
「イノリ。祈と書いて、イノリ」
「それはまた、願いを頼みそうな名前だな」
「それでお願い…いい?」
「ちょっと、待て。もう少しで吸い終わる。この煙草で最期なんだ」
「分かった。カズキが吸い終わるのを待つ」
「は? いつ、俺の名前をお前に教えた? って、おい。煙草、最期の1本、落としちまったじゃないか。って、あー濡れちまった。クソッ」
「それで、願い事、いい?」
「色々と疑問があるけれども、ああ、聞こうじゃないか」
「私と一緒に最下層を目指して貰いたいの」
「最下層?」
「ALICEの穴の最下層」
「あー、待て。なんだ、それは?」
「…Aちゃんねるを見たら分かる」
「Aちゃんねる? 分かった。見てみるか」
そして、俺はAちゃんねるを見てみる事にした。
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