火星の場合&最後に
■火星の場合
火星は、地球よりも太陽から離れたところにある惑星です。公転はもちろん、自転の方向も地球などと同じく北極側からみて反時計回りに回っています。
自転周期は地球にかなり近い24時間37分です。地球よりも太陽から遠いところを回っているので、公転軌道は長い上、公転速度も遅いです。
その結果、太陽が南中してから1回自転した後、もうちょっと回らないと再び太陽が南中しないのは地球と同じなのですが、地球よりも小さな角度を動くだけですみます。
結果、火星の太陽日は24時間39分。自転周期と2分しか違いません。太陽から遠いことと、自転周期が地球並みに早い……かどうかはともかく、金星や水星のように遅くないのが理由のようです。
動きの参考にGIF動画を貼っておきますが、手抜きして地球のを使い回します。
前にも書いたとおり、1日で移動する角度などは大げさに描いています。地球だと1日で1度弱ですが、火星だと1火星日で平均0.5度強です。GIF動画のは1日で45度も動かしています。
公転周期は地球時間で687日です。地球から観測する人にとってはこの数字を使えばいいでしょうが、もし火星に人が住むことになったらどうでしょう。687日というのは地球の1日=24時間での数字なので、1日(というか1火星日)が24時間39分の火星では39分ずつズレていくことになります。
ということで24時間39分の火星日で考えると、火星の1年は669火星日となります。もう少し細かく書くと668.5991火星日なので、火星のカレンダーを作る場合は1火星年を668火星日とし、1年おきに(時には連続して)閏火星年の669火星日が入ることになると思います。
この辺は「ダリアン暦」で検索してみてください。まだ英語の資料の方が多いと思います。
1火星日は火星の太陽日なので、1ソルと言われたりします。「ソル」はラテン語で太陽の意味があります。映画化された小説『火星の人』で有名になったような気がします。
ラテン語といえば地球の衛星の月は「ルナ」、地球は「テラ」になります。昔のSFでよく登場した名前ですが最近はどうなんでしょう。映画化された竹宮惠子氏の漫画『地球へ…』という作品もありましたね。観たことはないのですがダ・カーポの歌う主題歌はサビの部分をよく覚えています。思わず歌詞を書きそうになってしまいますね。書きませんが。書きませんが(大事なことなので2回以下略)。
太陽からより遠い木星や土星はどうでしょう。これらは公転速度が遅い上に自転周期が早いので、自転周期と1日(その惑星の太陽日)との差が大変小さくなっています。
ガス惑星で固体表面がわからない木星や土星って自転周期がわかるんかいと疑問がわくと思いますが、その辺は是非ご自身で調べてみてください。さらにその奥の惑星たちについても。
■最後に
今回のエッセイの直接の元ネタは、国立天文台の暦Wiki「1日の長さ」に掲載されている解説図です。
暦Wiki/要素/1日とは?/1日の長さ - 国立天文台暦計算室
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/CDD7C1C72F1C6FCA4C8A4CFA1A92F1C6FCA4CEC4B9A4B5.html
地球、水星、金星、月の1日について図があるのですが……。不満がありまして……。
1. もう少し大きいのが見たいな
2. 動画ならもっとわかりやすくなるのでは
最初にこのサイトを見たのがいつだったかは忘れてしまいましたが、そのうちGIF動画でも作ってみたいなあと思いながら早幾年。今月に入ってふと思い立ち作ってみた次第です。GIF動画は初めて作りました。というかGIF形式の画像を作ったのも初めてかも。MAGやPIC形式はいくつか描いたことがありましたが。
「暦Wiki」は、天文好きの方はご存じのサイトと思います。古代中国や西洋、江戸時代以前の日本など、昔の人々が天文現象を観測して利用してきたことも多く書かれているので、天文と歴史に興味がある方にはハマるサイトだと思います。
この手のことに興味を持ったのは高校生の頃、ハヤカワ文庫から出ていたアシモフの科学エッセイシリーズを読んだ頃からでした。昭和50年代後半の話です。
天体の1日については、シリーズ3巻『時間と宇宙について』の「ぐるぐる、ぐるぐる……」に書かれています。
アシモフの科学エッセイシリーズは15巻出ており、1巻以外は絶版になっています。原書は1957年から91年にかけて出版されたもので、内容は正直古くなりました。
ただ、対数の考え方や化学のモルについてなど今でも通用すると思うところはあるし(間違っていないと思うんですがどうでしょう??)、なにより話が面白いです。必ずしも同意しかねる意見もありますが、そういうのも含めて「面白い」と思うのでした。
ハヤカワ文庫だけでなく培風館からは『輝けクェーサー』、現代教養文庫からは『アジモフ博士の地球の誕生』『アジモフ博士の輝け太陽』などが出ていました。
近くの図書館などにあったら一度読んでみてはいかがでしょうか。科学と歴史に興味がある方にはかなり合うんじゃないかと思います。
作者のアイザック・アシモフ氏についてはご存じかと思いますが、知らない人がいてもおかしくない時代なので一応書いておきますと、SFとノンフィクションなどを500冊以上書いたアメリカの作家です。「ロボット3原則」は特に有名でしょう。1992年に亡くなった時は心不全及び腎不全などと発表されましたが、心臓バイパス手術の輸血によるHIV感染が原因でした。心臓バイパス手術についてはシリーズ11巻『素粒子のモンスター』で触れられています。冒頭の献辞も医療チームに向けてのような気がします。
対数の考え方
1巻『空想自然科学入門』 1.「まあその辺の大きさだ」
化学のモル
2巻『地球から宇宙へ』 9.「化学者は誰でしょう」
心臓バイパス手術について
11巻『素粒子のモンスター』 12.「ひとめぐりして」 16.「歴史を一年に縮めれば」
■解説図作成
グラフィックツール
CLIP STUDIO PAINT PRO Ver2.0.6
GIF動画変換
Giam Ver2.09
一部のPNG→GIF変換
Divas32 Ver1.04
使用フォント
IPAexゴシック Ver004.01
機械彫刻用標準書体 M Ver0.310
明らかにここはおかしい、なんてところがありましたら感想で教えていただければ幸いです。




