水星の場合
金星の前に、太陽に一番近い惑星「水星」で考えてみます。
惑星は太陽に近いほど早く動き、遠いほど遅くなります。太陽の周りを1周する長さも、太陽に近いほど小さい円になるので短くなります。なので太陽に一番近い水星は地球や火星より太陽の周りを1周する時間(1年)が短くなります。
実際、水星の1年は(地球時間の)88日ほどです。地球の4分の1より少し短いくらいの長さです。
自転周期は58日と半日ちょい。地球時間で2ヶ月近くたってやっと1周です。
ということで、水星の2年=水星の自転3回=(地球時間の)176日弱になります。つまり、太陽の周りを2回回る間に3回自転します。
そうなると、水星の1日(太陽日)はどうなるでしょう。
水星の1日を24等分して時刻をつけるとしましょう。太陽が南中した昼の12時からみてみると、太陽の周りを半周したところで夕方の18時、1回目の自転が終わったところでは夜の20時、ちょうど1周――つまり1年――たったところで深夜0時になります。もう半周すると朝の6時、ちょうど2周目で昼の12時になり、丸1日が経過したことになります。
早い話が、水星の1日、1水星日は2水星年の長さがあるのでした。
このエッセイのタイトルは「金星の1日は1年より長い?」ですが、水星は1年どころの話ではありませんでした。
「君、明日から水星の営業所に行ってくれるか。向こうの暦で30日でいいから」と上の人から言われたら、辞表を用意した方がいいかもしれません。




