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1日と自転と

■1日と自転と


 1日は24時間です。1時間は60分で1分は60秒ですから、1日は1440分で86400秒です。


 閏秒の調整が入る日は1秒違いますが、普通は上記の数字で大丈夫です。


 ところでこんな数字を聞いたことはないでしょうか。

 「23時間56分」もしくは「23時間56分4秒」。


 これは地球の自転周期です。地球が1回自転するのにかかる時間です。えらく中途半端な数字ですよね。


 昔、成り行きでこの話になったときの聞き手の反応は、1.元々その時間だ 2.自転が遅くなってるのでこうなった というものでした。


 要するに、23時間56分=自転周期=1日、と思ってたようです。


 「元々その時間だ」といった人は、1日の長さは元々そういう中途半端な数字なんだけど四捨五入して24時間になっていると考えていました。


 「自転が遅くなっているので」といった人は、地球の自転は年々遅くなっていると聞いたことがあるので、昔は24時間だったけど今はそういう時間になっていると考えていました。


 自転が遅くなっているのは事実のようですが、確実なのは100年で一日が2ミリ秒長くなるという長期的なもの。月の潮汐力と地球の自転の影響で、わずかながらブレーキがかかっています。

 100年で2ミリ秒ということは、10万年後には1日が今より2秒長くなるということですね。1秒長くなるのが5万年後ですか。その頃の時計は23時59分59秒の次に59分60秒があって、その次に0時0分0秒になるのかもしれませんが、5万年もたてば時間の取り扱いが変わっているかもしれませんし、なにより人類が生き残ってる気がしないです。


 もっと短い期間で考えても数分どころか秒単位で変化するようなこともありません。超巨大地震でも自転への影響はマイクロ秒単位です。秒よりさらに6桁も短い時間です。


 自転周期は23時間56分です。1日は24時間です。自転周期と1日は別物なのです。


 太陽が空をぐるぐる回っていうのは地球自身がぐるぐる回っているからです。これが自転ですね。1回自転する間に朝→昼→夕方→夜と空の明るさが変わって再び朝が訪れます。もっと簡単に書くと昼→夜→昼→夜の繰り返しですね。


 自転のほかにも動きがあります。地球は太陽の周りをぐるーっと回っています。公転というやつですね。1回公転する間に春夏秋冬と季節が流れて再び春が訪れます。


 この公転が、1日という時間に影響を与えています。


 前の話の動画のように地球は自転していますが、あれは公転も考慮に入っている動画です。ただ、公転については描いていないので、自転のことだけかと勘違いしてしまいます。


 もしも地球が太陽の周りを回っておらず、1カ所にとどまっていれば、太陽が南中してから1回自転すると太陽は再び南中するでしょう。


 実際には1回自転する間にも、地球は公転によって太陽の周りを少し移動します。すると、太陽が南中したときから1回自転が終わっても太陽はまだ南中していません。少し東にあります。

 再び南中するにはもう少し自転しないといけません。地球の場合、1回自転した後さらに4分ほど必要です。これで再び太陽は真南に来ます。


 ということで、1日について自転だけではなく公転が関係していることもわかるように描いてみます。


挿絵(By みてみん)


 このように太陽の動きを元にした1日を太陽日(たいようじつ)といいます。普通使われる「1日」は地球の太陽日1日分です。


 この動画は、わかりやすくするために移動を大げさに描いています。

 実際には1周が360度で1年が365日ですから、公転軌道上を動くのは1日あたり1度弱です。動画だと45度動いたところを描いているので、1ヶ月半動いたくらいの移動角度になります。

 1度弱でも動く距離は1日で260万キロメートル弱になります。地球の直径が1万3千キロメートルくらいなので、1日に地球の直径の200倍ほど横に動いていることになります。


 この動画で自転と1日の違いがなんとなくでもおわかりになるでしょうか。


■うるう年とは無関係


 1日は自転より「4分」長い――。この「4」という数字をうるう年と関係づけて解釈してしまう人がいます。


 うるう年は確かにだいたい4年ごとです。ただ、「4」という数字が同じなだけで、一日と自転の話とは全く関係ありません。


 地球が太陽の周りを1周する(1年)とき、例えばぴったり365日回って1周が完了していたら、1年=365日でいいわけです。

 実際には1周が完了するときは少しズレます。365日分と4分の1回転して1周しています。1年を365日とすると、太陽の周りを1周するのに少し足りません。

 これが4年続くと1周するまで1日分足りないことになります。40年続くと10日、120年続くと30日分足りなくなるので、本来の暦より1ヶ月分早くなります。暦だと冬なのにまだ秋っぽいぞということになってしまいます。

 ということで、4年に1回1日を追加することで、暦と季節が一致するようになります。


 実は太陽の周りを1周するのにかかる時間は365日+4分の1日よりちょっと少なめです。なので、4年に1回1日を入れるのはちょっと多いんですね。400年で3日分多くなります。

 4年に1回1日を入れると400年で100日増えますが、これを97日にしたい。

 ということで――


 1. 4年に1回1日を入れる(400年で100日増えます)

 2. ただし西暦で100で割れる年はうるう年にしない(4回減るので増えるのは96日)

 3. ただし400で割れる年はうるう年とする(上記から1回増えるので400年で増えるのは97日)


 これで400年に97回、1日が追加されることになりました。長い間、暦と季節が一致するようになります。めでたしめでたし。


 西暦2000年がそういうレアな規則が適用される年ということで少し話題になった気がします。この次話題になるのは「4年前はうるう年だったけど今年は違うぞ」という、21世紀最後の年である西暦2100年でしょうか。私はそのニュースを見ることはないですが(絶対無理)、ちょっとくらいは話題になるとうれしいな、と思ったりします。そんなことが話題にすらならないほど大変な時代になっていてほしくはないのですが。


 ということで、うるう年がだいたい4年に1回なのは、地球の公転がちょうど365日分で終わらず、もう4分の1日分ほど動かないといけないからなのです。1日と自転の差が4分というのとは無関係なのでした。


 上の方で「自転が遅くなっているのは事実のようですが」と書きましたが、自転が遅くなって1日が今より長くなると、そのうち太陽の周りを1周するのにかかる時間が365日+4分の1日ちょうどになるときが来ます。例外なく4年に1回うるう年を入れればいい時代になりますね。


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