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美湖と真昼の出会い

俺の周りには良い人が多い。

人には恵まれている。

俺はよく人には優しくしている。

人の''喜ぶ顔''を見るのが好きだから。


中二の春。中二は中だるみの年と言われ、調子に乗ってやらかしてしまう人がいるらしい。

俺は、友人達とみんなでワイワイしていた。

ふと1人でいる人がいる女子が気になった。

名前は倉井美湖(くらいみこ)だ。

彼女はぼんやりと外を眺めている。

俺はそういう人がいると話しかけたくなっちゃう。

なぜなら、俺は昔、親が転勤族で親友がなかなか出来なくて寂しかったから


俺は余計な先入観はなくして、話しかけてみた。

「ねえ、何しているの?」

彼女は驚いていたが、嬉しそうだった。

「えっ私に話しかけているの?」

「そうだよ。倉井さん。」

彼女は笑顔から急に真面目な顔になる。

「えっもしかして今日私日直だったりする?

業務報告てきな。」

この子天然なのかな。

「違うよ笑ただ、俺が倉井さんと雑談したいの。」


彼女は無口だけど、おしゃべりな俺の話を聞いてくれる。嬉しいし、彼女が美人だからなのかたまに笑うとすごく可愛い。



「倉井さん、白石さぁ、知ってるでしょ?」


「うん。」


「あいつさ、横井と付き合ってるんだって」


「えっ、そうなんだ。横井さん美人だしお似合いだよね。どうやって付き合ったのかな?」


「あー、それはね、あんまやり方はクリーンじゃないらしいよ。」


「元々白石は屑見(くずみ)と付き合ってた人いたんだけど、急に横井のこと好きになったらしくて屑見から白石を盗ったみたいに言われててさ、でも別に二股じゃないし、ちゃんと別れてから付き合ってるんだからいいよな。」


「なんか、ドラマみたいだね!

....ってあんまり面白がっちゃダメだけど。」


特に部活とか噂話とかの話をすると興味津々に聞いてくれる。意外とゴシップ好きなんだ。


「結構こういう話好きなの?」


「えっえっと」

彼女はなぜかすごく言い淀んでいる。


彼女は数分間悩んだ後、口を開けた。

「私、友達いなくて知らないからそういう学校のこと知れるの嬉しいんだ。」

彼女髪の毛をいじりながら恥ずかしそうに言った。

ただゴシップ好きだと思っていたけど、そういう事情があったんだ。

「これからも探すね!色々と。」

彼女の顔はパァと明るくなる。

「ありがとう。」


放課後、俺と彼女は一緒に帰宅していた。

さりげなく俺は生徒会の話をした。

「俺さ、生徒会に誘われてんだよね。」


「へぇ、なんか、めんど.....いや大変そうだね」


俺は彼女と一緒なら生徒会も頑張れそうだと思い誘ってみた。

「ねぇ、美湖も生徒会入らない?」

「いやいや、私なんか生徒会に入れないよ。しかも絶対浮くよ。」


彼女は、自信がない。ちょっと控えめなだけなのに。

それに彼女実は面白くていい子。でも自分しか知らないなんて勿体無いと思った。もっと彼女の良さを知って欲しいのにとも思った。




生徒会説明会が始まった。生徒会室にそこそこの人数の生徒が集まっている。


「生徒会は、決して堅苦しいものではありません。

生徒の皆さんのご意見を取り入れ、学校をより良くするために存在します。また、生徒会は生徒の代表を担っており〜」


「くっくっく」


友人の酒井が笑っている。俺は気になって話しかけた。


「おいっ何笑ってんだよ。」


「だぁってさみんなクソどうでもいい顔してんだもん。

多分、会長学校の理念とかあんなに熱弁してるけどみんな内申点目的だろうな笑」


「えっなに?加点してもらえるの?」


「明野ぉ、お前知ってんだろう。カマトトぶるなよ笑」


「マジで知らんかったんだよ笑笑」


「真面目くんにキャラ変かよ。ウケる笑」


いいことを聞いた。

彼女に話そう。きっと目を輝かせながら聴くだろうな。


俺は生徒会の説明会が終わり、彼女と一緒に帰宅した。

今日は春の暖かさと冬の寒さが混ざり合い、晴れているのに暑いのか寒いのかよくわからない。

彼女はマフラーを忘れてしまったようで寒がっていた。こういう時、俺が交際相手だとしたら手を握るのだろうなと思った。


「ね、ね今日は生徒会の説明会どうだった?」


「酒井とちょっと雑談した。」


「内容は?」


「あー、なんか学校を良くすんだって。あとそんな堅苦しいもんじゃないって。」


「曖昧だね。」


「あはは、サーセン。」


「あれ?明野?久しぶりー!

俺、大村だけど覚えてる?」


突然、金髪で体躯(たいく)のいい男に話しかけられた。

小学生の時の同級生。こんなところで会うなんて。


「なになに、相変わらず根暗な訳?」


大村は数多くあるスマホアプリからカメラアプリを探し、スマホ画面をこちらに向けてきた。


「ウェーイ!明野くんと遊んでまーす!

ほら!お前もなんか言えよ!」


大村に肩を叩かれた。

この場に居たくない。美湖に見られてる。何を言っても墓穴を掘る気がする。


「ちっつまんねーやつ。俺のこと見下してんじゃねーよ。」


大村は俺を離し、どこかに行ってしまった。

本当に遠いどこかに行って欲しい。



俺は1人で帰らなかったことを後悔した。

俺は、恥ずかしかった。だって今はこんな明るいキャラなのに昔は地味でつまらない奴だったってバレたんだから。

俺は何を言われるのか怖い


「真昼も昔は大人しかったんだね。」


彼女は失望したかな。


「私、安心したよ。よかった。」


「えっえっなんで?」


「真昼は私とは違って人気者だし、なんで私なんかと仲良くしてくれるのって思ってたんだ。でも、ちょっと親近感湧いたよ。」


彼女はニコッと笑った。


かわいい....なんか今まで一番可愛く見えるし、少し目頭が熱かった。


その笑顔の可愛さは彼女の元々の可愛さではなく、

これが、この気持ちが恋だからだと思った。


彼女はいつも本質を突いてくる。上辺だけじゃない。俺は、上辺だけしかみれてないから俺の方が彼女と釣り合ってないと思う。

だから、もっともっと周りに認められたい。

彼女と、美湖と釣り合うようになりたい。

そしていつか美湖に告白するんだ。


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