表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/67

師炉勇魚は俺とは真逆 1

 ダンジョン入場はほんの一瞬だ。モノリスに手を触れたわずか数秒後、さっきまでいた駐車場の景色はどこにもなく、広大な緑の平原が現れた。


 ダンジョンといっても地下迷宮とか、ナントカの塔とか、はたまた魔王城とか、そういった建造物や屋内とは限らない。

 ダンジョンとは現実世界の延長線上にありながらも独立した一個の小規模な侵略的別世界である、というのが世界政府によるダンジョンの定義だ。


 ダンジョンはゲームに似て異なる。

 ゲームは俺たちの世界に現実として存在しながら別の世界が存在するかのように画面上に映し出す。

 ゲームをよりリアルに、かつ現実に対する侵蝕効果を持つのがダンジョンといえる。


 この現実に対する侵略とか侵蝕とかいわれる効果こそが、ダンジョンの持つ唯一にして最悪の性質だ。


 例えるなら世界におけるガン細胞だ。放っておけば増殖と膨張を続け、やがて俺たちの住む空間(スペース)を覆い尽くしてしまう。


 もし世界がダンジョンで覆い尽くされたとしても人類がすぐ滅ぶわけではないといわれている。

 その場合、人類は常にダンジョン内部での生活を余儀なくされるらしい。

 そうなればダンジョン内部は現実世界とは比較にならない非常に危険な世界なので、人類の生存が厳しくなることは間違いないだろう。

 結局のところ行き着く先は世界の滅亡である。


 阻止する方法は唯一つ、ダンジョン攻略だ。


 攻略すればダンジョンは減退縮小し、ボスを倒せばその活動は完全に停止する。

 停止したダンジョンは廃ダンジョンと呼ばれ、わずかばかりのモノリスを残して世界にとってほとんど無害な存在になる。


 そんな世界の侵略者であるダンジョンを攻略し、世界平和に寄与するのが<ダンジョン冒険者>である。世界の平和を守る職業が軽んじられるはずがない。国に正式に認められた冒険者はたとえ最低ランクでも準公務員扱いである。地位、名声、所得、人気が高く、『子どもたちのなりたい職業ランキング』と『将来結婚したい相手の職業ランキング』の一位を登場からずっと守り続けているほどだ。


 中でもAランク以上の、世界でも有数の一流のダンジョン冒険者の生活レベルはそりゃもう凄まじい。一般リーマンの平均生涯収入をわずか一日で稼ぐこともあるとか。国や自治体が豪邸のための土地を用意してくれたり、ライフラインや交通機関まで便宜してくれるとも聞いたことがあるし、多少の軽犯罪程度なら見逃してもらえるとも聞く。


 命がけだがその分見返りも大きく、国からの優遇も手厚い夢のある魅力とロマン溢れ、誰もが目指し憧れる職業、<ダンジョン冒険者>だ。


 それは俺も同じだ。俺もガキの頃から<ダンジョン冒険者>になりたいと強く思っていた。が、俺はあいにく<魔力不能症>。一切<スキル>が使えない。

 最悪の体質が発覚した時点で夢は断たれたも同然なのに、俺はどうしても諦めきれなかった。だからひたすら筋トレに勤しんで、このムキムキマッチョな素晴らしい肉体を手に入れた。魔力が無いなら物理で殴るまでさ。


 いや、俺だってわかってるよ? 魔力が無いのを筋力で補うなんて無理がある話だって、そりゃゲームだから上手くいっただけだって、そんなこと常識的に考えたら誰でもわかる。俺でもわかる。そんな簡単な話じゃないなんて、今どき小学生でもわかるだろう。


 でも、それでも俺は、何もしないまま夢を捨てる気にはなれなかった。

 『諦めたらそこで試合終了』だって、安西先生も言ってたし。


 ま、やってみてダメだったらそのときはすっぱり諦めるよ。つか、諦めるしかないし。とりあえずやってみて、あとのことはそれからさ。

面白いと思った方、ブクマ、評価お願いします! モチベに繋がりますので!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ