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合体巨大化! メスガキ悪魔巨人誕生! しかもSSS級ってインフレにもほどがあるだろ!

「やるじゃない人間! このプリモンちゃんにここまでダメージを与えたのはアンタたちが初めてだよ! 褒めてアゲル! きゃハハハハハハ!!!」


 たしかにダメージはあるらしい。身につけているボンテージがボロボロ、露出した肌のいたるところにアザができている。布面積も減って、見ようによってはちょっとセクシーな感じが増している……いや、そんなことはどうでもいい。それよりも<メテオ>を受けて、この程度しかダメージを与えられていないという事実が問題だ。どう見たって彼我の損害はこちらのほうが大きい。俺のような素人目にも形勢は圧倒的不利だとわかる。


「ここまで頑張ったアンタたちにとっておきのご褒美見せてアゲル! アタシの真のチ・カ・ラ……!! 目ぇかっぽじってよく見ててね!!!」


 メスガキ悪魔の足元の地面が地響きとともに網目状に割れそこから幾状もの光が飛び出す。直後、ひび割れた地面が円形に陥没し、そこからM悪魔巨人が師炉極に倒されたときの真っ二つになったまま立ち上がった。真っ二つのM悪魔巨人は瞬間接着剤で貼り付けたようにピッタリと継ぎ目もなくくっついた。


 M悪魔巨人が復活。敵が増えてしまった、と思った瞬間、メスガキ悪魔はM悪魔巨人の首を手刀でサッと軽く落とした。血が滴る生々しい切り口にメスガキ悪魔は下半身をずぶずぶと埋めていった。パイルダーオンの激グロ版だ。マジンガーZはさすがに古いか? ともかく、まさにそんな光景だった。


 巨人の首から上が美少女の上半身という奇妙で気持ちの悪い怪物、メスガキ悪魔巨人が誕生した。戦隊ヒーローの敵みたいな展開だ。こっちは合体ロボットなんて持ってないんですけど。


 「目をかっぽじったら余計見えなくなるだろ」とツッコミを入れるタイミングを逸した俺はもはやそれをただ呆然と眺めることしかできなかった。


 いや、眺めてる場合じゃない。敵が新たな形態をとったなら、やるべきことは一つ。


「<ステータススキャン>!」


 敵のステータスの確認だ。



 <プリモン・ザ・ジャイアント・オブ・サディスティック>

 

   レベル:不明

   クラス:SSS級 アークデーモン

 ステータス:異常なし


    体力:不明

  スタミナ:不明

    魔力:不明

 物理攻撃力:不明

 魔法攻撃力:不明

 物理防御力:不明

 魔法防御力:不明


   スキル:不明スキル多数



 SSS級……!?

 なんだこのインフレ!?

 ジャンプ漫画より酷くない!?


 あーもうついていけないっす。漫画とかでもあんまりインフレされると冷めない?

 メカフリーザが簡単に倒されたときと、戸愚呂がB級妖怪と判明したとき、俺がっつり冷めちゃったんだよなぁ。ま、その後もちゃんと最後まで読みましたけどね。それでも面白いぞ、ドラゴンボールと幽遊白書。


「どう? すっごくかかわいーでしょ? これがプリモンちゃんのホ・ン・キ☆ あれれぇー? ビビっちゃってる? チ◯ポ縮み上がってる? あッハーーー! そんなに怖がらなくて大丈夫! ちゃーんと優しくしっかりたっぷり殺してあげるから! きゃッハハハハハハ!!!」


「おい、言われてるぞマッチョくん」


「えっ!? 俺のこと!?」


 心外だ。たしかに隆々といきり立ってはいないが、縮み上がってもいないと思う。


「君以外にないだろ? 小百合子ちゃんも勇魚ちゃんにも玉がなければ竿もないんだから」


「……」


 敵も味方も下品過ぎてもう頭が痛い。戦闘中なのによくそんな軽口が叩けるもんだ。呆れを通り越して感心するわ。

 でも、同時に心強いとも思った。軽口叩けるってことは余裕があるってことだ。さすが師炉極、たとえランクに差があろうとも絶対に負けない。それが英雄だ。


「縮み上がってるとこ悪いんだが、俺が時間を稼いでる間、君には勇魚ちゃんを連れてダンジョンを離脱して欲しい」


「時間を稼ぐ? 倒すんじゃないんですか?」


「おいおいマッチョくん、冗談はそのバカげた筋肉だけにしてくれよ。相手はSSS級でそれにあのステータスだぞ? 勝てるわけないじゃないか。あ、君はマンポ(嘲笑)だからステわかんないか。とにかく、君の仕事は勇魚を連れて無事に逃げること。わかったな?」


「逃げるって言われても……」


 俺は辺りを見回した。周りは<メテオ>で更地になってしまっていて、ついさっき俺が突き落とされた崖すらなくなってしまってる。360°何もない。帰るべきモノリスさえも。


「モノリスが見当たらないんですけど」


「あら……少しやりすぎちゃいましたね」


 テヘペロする参甲小百合子。ちょっとかわいい。だがあいにくそんなんじゃ誤魔化されないぞ。


「やりすぎちゃいました、じゃないんですよ! どうするんですか!? ダンジョンから出られなくくなったんですよ!?」


「慌てるな少年! 慌てる乞食は貰いが少ない! 乞食とダンジョン冒険者は常に冷静であれ! モノリスはその辺のどっかに転がってるはずだ! 探せぃ! 求めよさらば与えられん、だ!」


「その辺って……」


 何度も見回すがパッと見は無い。どこにも無い。多分埋まってるか、視界外にぶっ飛んだんだろうなぁ……。


「逃げようとしたって無駄だよぉ? アタシ、狙った獲物は絶対に逃さない主義なの! だ・か・ら、諦めてアタシに殺されちゃおうよ~~~!!!」


 メスガキ悪魔巨人がずんずんとこちらに歩いてきた。


「じゃ、マッチョくん、勇魚を任せたぞ!」


 そう言って、師炉極はほぼ全裸というスタイルをかえりみず、メスガキ悪魔巨人へと飛びかかっていった。


「SSS級だかなんだか知らねーが、そんなもんにこの勇者、師炉極が負けるわけにはいかないんだよ! 嫁も娘も見てるしな! というわけで、死ねぇ~~~いぃ!!!!」


 あ、その「死ねぇ~~~いぃ!!!!」はマズい予感。それって漫画とかで「負けるヤツ」のセリフ……いわゆるザコがあっさり倒される時のアレっぽいんだよなぁ。「死ねぇ~~~いぃ!!!!」と飛びかかって勝ったパターンを俺は知らない。


「アハッ☆」


 メスガキ悪魔巨人はパッと笑顔で飛びかかる師炉極にデコピンを食らわせた。


「グフっ……!」


 師炉極は空中を大いに吹っ飛ばされ、なんと山の向こうに消えてしまった。アンパンチを食らったバイキンマンみたいに。


 嘘だろ……?

 人間の身体ってあんなギャグマンガみたいにぶっ飛ぶのか?


 恐怖で身体が震えてきた。ギャグマンガはギャグマンガだから良いのであって、ギャグマンガみたいなことが現実に起こればそれはもう恐怖でしかない。


「あッハーーーー!!! よっわ~~~い☆ クソザコ~~~☆ 必死になってアレってマジダサ~い!!! ウケる~~~☆ チョベリグ~~~!!!」


 盛大に嘲笑するメスガキ悪魔巨人。つかチョベリグってお前何歳だよ。ひょっとしてプライベートじゃガングロルーズソックスだったりするのか? いや、使い方間違ってるから違うか。


「よ、よくもダンナをーーーーッッ!!!」


 夫をやられて激情に駆られた参甲小百合子は魔法使い職であるにもかかわらず、マイクロビキニのセクシーボディを弾ませ、機動戦士ガンダム第一話のジオン兵、デニムを彷彿とさせるセリフを叫びながら、夫師炉極と同じようにメスガキ悪魔巨人に飛びかかっていった。


「死ねぇぇ~~~いぃ!!」


 あ、既視感(デジャブ)


 メスガキ悪魔巨人がデコピンを参甲小百合子にデコピンをカマす。


 あ、また既視感(デジャブ)


「ドワッジぃっ……!」


 夫婦揃ってジオン系なうめき声を上げながら山の向こうへぶっ飛ばされてしまった。またまた既視感(デジャブ)


 我が国の誇る最強冒険者のツートップがわずかデコピン二発であっという間に倒されてしまった。

面白いと思った方、ブクマ、評価お願いします! モチベに繋がりますので!

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