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9 入学する。 (2)

ケティア・フィージスの呟き


俺のしたいことを邪魔するやつは、容赦しないから

ケティアは一時的に呼吸が奪われる。

この世界に来て初めての痛み。

(なるほど。こうやって召喚した奴が暴れだしたら、自分で対処しろ。ていう意味でこんなバカでかい闘技場でやっとるんか)

(くそ!なんちゅうスピードや、俺が避けれんかったぞ。それよりパワーがバケモンやな。叩かれる前に防御魔法使って無かったらあっさり死んどったぞ)

ケティアは叩かれる寸前に避けきれないと判断し、防御魔法をかけていた。


すると鬼が片腕をケティアに向け、


「フレア」


火属性の中級魔法を打ってきた。3歳の頃魔力量的に打てなかった魔法だ。

今は打てるので知っているが、中級の中でも普通に高火力な魔法だ。


防御力皆無のケティアは、流石に次当たったら死んでしまうので、横に飛び避けた。

すると、すぐさまもう一発フレアが飛んでくる。しかし、それをバックステップで軽く避ける。

鬼がケティアの方に真っ直ぐ走ってくる。

(なんや、走るのは、そこまで速くないな。多分、腕力極ぶりのタイプか)

腕力が高ければ、もちろん金棒を振る速度も上がる。

おそらく腕力のステータスは、ケティアの脚力とそこまで変わらなそうだ。

そのため、脚力はそこまで高くないという訳だ。

ケティアは鑑定スキルで鬼のステータスを見ようとしてみる。

(何!?できないだと!ちっ、隠蔽スキル持ちかコイツ!?)

鑑定スキルは、隠蔽スキルを持っている対象には通じない。

(ちっ、隠蔽持っとるとかちゃんとしてんなぁ。)

(しかし、さっきの魔法、ありゃどう見ても普通の威力じゃねぇな。こいつ腕力化け物で魔法も一級品とは、なんちゅう実力や。チートかちゃ)

ケティアも似たようなもんだが。


ケティアの顔が、先程までの面倒な事をしている表情から、戦闘時に見せる、悪魔の表情に変わる。

(おもしれぇ、こいつを俺の使い魔にしてやる!)

鬼がケティアに金棒を振りかぶる。

しかし、もちろんケティアの速度に当てることなどできない。


「さっきは、不意打ちだったからなぁ。もうお前の攻撃は一発も当たらねぇぜ」

ケティアは、不適な笑みを浮かべる。

「ちっ、」

鬼が舌打ちをする。ケティアに向かって何度も金棒を振るが、発言通り、一発も当たらない。

ケティアは踊るように、鬼からの攻撃を華麗に避けていく。

そして、鬼の一瞬だけ見せた隙に、自分の身長の倍はありそうな鬼の巨体をもろともせず顔面の高さまで跳躍し、強烈な蹴りをぶち込む。その時、鬼の角が折れた。

風魔法で蹴りの速度を強化していないので死にはしない。

鬼は角が折れて、声をあげて痛みに苦しんでいる。相当な激痛だろう。

しかしそんな事ケティアが気にするなど、まず無い。

ケティアは悲鳴をあげている鬼に、容赦なくもう一発、今度はこめかみに蹴りを入れる。そして勢いで、鬼が横に吹き飛ばされる。

蹴りの手応え的に、頭蓋骨が割れたのが分かった。

しかし、流石の鬼人族、致命傷でも、この程度では絶命はしないようだ。

もう動けないと思っい倒れている鬼に近ずく。


しかし、鬼が体を起こし腕をケティアに突き出してきた。そして、


業火ごうか


火属性の範囲魔法で、一番火力の高い魔法だ。

ケティアに攻撃が当たらないと判断し、範囲魔法を打ってきた。

「ほぉー、偉いな。........だがな、俺の方が二枚は上手うわてだ」

流石のケティアも、咄嗟に範囲魔法を避ける事は出来ない。

しかし、火属性と、言うのが難点だった。

ケティアは自分の体の周り、約1センチ程の空間を、スキル空間空気濃度変換で窒素濃度100パーセントにしたのだ。

火とは、酸素が無いと消えてしまうので、ケティアの目の前で、炎が消えると言う摩訶不思議な事が起きたように見える。

(あぁ、これすると息できんけ、苦しいしんよね)

(さてと)

ケティアは、的当ての時とは比べ物にならない程大きな火球を作り出し、鬼に向かって放った。


鬼は直撃しその場に倒れて、既に抵抗出来なくなっていた。


ケティアは、倒れている鬼に近寄る。立った状態で鬼を見下すようにして。

「お前は俺の邪魔をしたんだそらぁ、こんなザマになるのも無理はねぇよな?」

「お前に残された選択肢は、2つだ。ここで俺に殺されるか、俺の使い魔として契約して、俺に付いてくるかだ」

ケティアは、魔王が言いそうな「死ぬか、俺の部下になるか選べ!」的なことを言っている。

「お主の使い魔!?ふんっ、笑わせるな、そんな馬鹿な事するようだったら、死んだ方がマシじゃ」

使い魔契約とは、同じ種族どうしでも、行える。例えばサトルがケティアを、使い魔契約することも出来る。

また、使い魔と奴隷は、これといった違いはなく、奴隷契約は全く同じ、使い魔契約をすることで契約完了となる。

分かりやすく言えば、強制で契約するのが奴隷契約。相手の了承を受けて行うのが使い魔契約だ。


そのため、いわゆる、今ケティアは、鬼に対して「お前は、死ぬか、俺の奴隷になるか選べ」と言っているような物なのだ。

使い魔にならなかったら死ぬのだから、奴隷契約と何ら変わらない。

そう考えると、鬼が否定する理由もわかる。

「ほぉ、お前否定するか、さっきお前自分で『我が一族の掟を侮辱するか!』みたいなこと言ってたよなぁ?」

「それがなんじゃ」

ケティアは、鬼人族が一族の誇りを、何よりも大切にしている事を知っている。

ケティアはニヤリと笑い。

「お前はつまり、俺の使い魔になる罰を受けないって言うんだろ!イコ〜〜〜ルゥ、お前は、鬼人族のクソおもんない掟を破った。言わゆる一族の面汚しって訳だ!」

ケティアが高笑いをしながら鬼を見下す。

ここまで来たら、ケティアを止めることが出来る人はいない。

ケティアは、『鬼人族の誇りに対する感情』を、上手く利用した。

これは、悪魔もビックリするほどの汚い手口だ。

鬼は顔を青ざめた。

自分が一族を怪我している事を、知らしめられたからだ。

ケティアは、転生してから、一番の楽しさに心が満たされてる。

ケティアにとってこのような事をしても、何も心は痛まないのである。むしろ今の鬼のような表情の人を見るのが大好きだ。

しかし、別にケティアも、何もしてこない無害な人物に攻撃するほど鬼畜では無い。

単純にケティアがしようとしていた事を鬼が邪魔をしてきたから攻撃したに過ぎない。

ケティアは基本的に中立だが、もし自分のしたい事の邪魔をするようなら息の根を止めるのも躊躇なくすると言うだけ。

この前のワイバーンは例外だ。

たかがモンスターだ。何もしなかったらこちら側がどんだけ無抵抗であったとしても攻撃してくる。だったら最初にこちら側が、手を出しても問題は無い。


そんな中立のケティアを敵対させたのは鬼自信だ。

別にケティアは、使い魔契約の話を鬼が振っても特に何もする気はなかった。もし拒否されたら次の召喚をしていたはずだ。しかし、先に敵対してきたのは、鬼側である。最初からケティアが襲った訳では無い。

まぁ〜怒らしたのはケティア自信だが。それにはケティアも気づいている。しかし、殴りかかる程の事でもない。

それに言い出したら、出会い頭に脅かしてくるのもおかしい話だ。

そのため今回は、ケティアも鬼も2人共悪いのである。


そんな中理不尽な二択を突きつけたケティア。

「さぁ〜どうする、俺は優しいからな、お前みたいに強い奴なら歓迎して、生かしてやるよ!」

ケティアが倒れている鬼を見下しながら語る。


鬼は、苦虫を噛み潰したような顔をしている。

かなり長い間沈黙が続く。


そして鬼は自分より、自分の一族の名誉を優先した。

「くっっ、...分かった、お主の使い魔になってやろう」

ケティアは、不適な笑顔を見せた。

使い魔の契約は、最後の試験なので、魔力を消費しても良いと思い、鬼に向かって片腕を突き出す。

そして、元々存在する、単独で使える回復魔法では、追いつかなそうなので、魔法想造で集団儀式最上級回復魔法、


神恵ディヴァイングレス


の、単独で使えて、使用する魔力消費量が軽減されたバージョンを作った。

それを鬼に無詠唱で使ってやる。

すると、瞬きしたくらいの時間で傷の全てが完治していた。

「!?お主、儂に何をした!」

「回復魔法かけた」

「何!?あの傷を一瞬でじゃと?...それより、何故人間が無詠唱で魔法を使えておる!?何故あんなに俊敏が高い!?お主何もんじゃ!?」

鬼が目を丸くして聞いてくる。

(えっ、人間って無詠唱使えないの!?やけみんなあんなに頑張って詠唱しよるんや!)

ケティアは、そんな大事なことを今知った。

(あれ?じゃぁ何で家族は俺が無詠唱で魔法使っても特に気にしてなかったんや?)

そしてケティアは、1つ思い出す。

「ま〜ぁ、ケティちゃんすご〜い。」「...。」と2人が言っていた事を。

サトルは、何も反応しなかった。

(父さんぽいな。)ケティアはサトルに苦笑いをした。

(じゃなくてぇ、何者って....えぇ〜なんて答えたらいいんやこれ?)

ケティアは、前世の記憶の中には、「探偵さ!」なんてことを言っている奴がいたが、どう答えるかケティアは顎に手を当てて考える。

ケティアはしばらく考えた結果、

「ただの面倒くさがりだよ!」

と、笑顔で答えた。

すると鬼が不思議そうな顔で、

「お主、ちゃんとそのような笑顔見せるのじゃな」

ケティアの表情の変わりように驚く鬼。

「俺結構普通に笑うぞ」

「何を言っておるか、さっきスゴい顔して儂を見ておったぞ」

「そうか?」

「気づいておらぬのか!ま〜良い、ほれっ、さっさと、使い魔契約したらどうじゃ」

「あぁ、そうだたな」

ケティアは、鬼と使い魔契約した。

すると、鬼の胸元に黒色の魔法陣が輝き、数秒後に消えた。鬼が黒なので見にくかったが、ケティアが単独で魔法を使う時の、魔法陣の形をしていた。

魔法陣は、人によって違いケティアは、日に日に複雑な形に変わっている。

どうやら、魔法陣の複雑さによって魔法の威力が上がるそう。これも家の本で知った知識だ。

「これでお主...違うの。主様あるじさまとの契約が出来た。にしても主様よ、どんだけ魔力が濃いんじゃ、陣が黒色だったぞ!?」

「何だ、魔力が濃ゆいって?」

ケティアは聞いたことがなかった。

「なんじゃそんな事も知らねのか。無知じゃなぁ。魔力の濃さとはのぉ、言わば魔力の質じゃ。色が濃ゆい程強力な魔法を出せるのじゃ」

「へー、そんなんあるんや、知らんかった」

「主様、色が黒って相当すごいことじゃぞ。もっと誇ってもばちは当たらんぞ。儂ですら紫なのじゃから。まさか儂より濃ゆいのが、貧弱な人間族に居るとはのぉ」


鬼言わく魔法の色は下から、白、赤、橙、黄、緑、青、紫、黒の順番らしい。

自分の色の確認は自分の魔力を感じれば良いそう。

3歳の頃自分の魔力が青色の炎だったのを思い出した。

「俺ガキの頃から青やったんやけど」

「はぁ!?幼子おさなごの頃から青とは。魔力適正すごいのぉ主様。儂は黒なんて長い間生きておったが、初めて見たぞ!」

鬼が言う長生きというのは、おそらく本当だろう。鬼人族が滅んだのはだいたい、八世紀程前なので少なくとも鬼は800歳以上だと言うことだ。

「お前めっちゃ、バ...!」

「主様よ、儂は女じゃぞ?」

鬼が金棒を素早くケティアの目の前にむけてきた。

「すっ、...すまん。」

(この世界でも女性に対して『バーさん』は、マナー違反らしい)

ケティアはシンプルに反省した。

鬼が金棒を下ろす。

(なんじゃ、意外とすぐに反省しよった。主様はあれか。戦闘中だけ人格が変わる口か)

鬼はケティアえの認識を変えることにした。


「さてと、この姿は疲れるのぉ、戻っとくか」

そう言うと、鬼は、金棒を地面に置き、体全体を光らせだした。

紫色に輝いた後、鬼が急変し、ケティアの胸部程までしか身長がない幼女の姿になった。

「うぐっ...」

鬼なら威嚇されても全く驚かなかったケティアだが、今の鬼の姿を見て、簡単に動揺してしまう。

「おぉ〜?主様や、もしかして儂の容姿に魅了されたかぁ〜?」

そこには、先程までの散り散りな髪と違い、ツヤツヤサラサラの美しい金髪に。どっからあんなバケモンじみた力が出るのか、スラリとした腕と足。

そして何より、少し見つめられただけで老若男女、関係無く惚れてしまいそうな整った顔の幼女になった。

表情は、見た目の幼さと違い、大人な感じがギャップがあってまた良い。

目の色は厨二がよく言う白銀の色をしていてとても美しい。

そして鬼人族って感じがする、角は、コメカミから髪型の触覚のように生えている。

そしてケティアが動揺したのは鬼の時は気にならなかったが、全裸なのだ。

ケティアは、ヨシミで見てきたはずだが、鬼は全く違い、大人びた態度が反則である。

「お前...服は?」

視線が勝手にピンクのなにかに行ってしまい、ケティアは自分の手で目を隠す。

「なんじゃ、儂は、主様の使い魔じゃぞ、もしかして照れておるのか!」

「ちげぇしっ!」

そうは言ったが、ケティアの顔は真っ赤だ。

「クククッ、主様も可愛い所があるのじゃな!」

「うるせぇっ、服ねぇのか!?」

「ある訳無かろう。ついさっきまで封印されとったのじゃぞ。」

ケティアはどうするか考える。


「合格、直ちに闘技場から退しゅ...」


ケティアが考え事をしていた時に声を出され、腹が立ち、インコに殺気を放つ。

インコは冷や汗を滝のように流しながら明後日の方向を向いてしまった。

(あらぁー!?主様の機嫌を損ねたら死ぬかもしれんの)

鬼は、(これはとても恐ろしい主様の使い魔になってしまったのじゃ)と思った。

「主様、儂の裸が他者に見られるのを拒まれておるのか」

「当たり前だろ、そんな大事な身内の裸を他人に見せてたまるか!」

(身内.......えぇ〜!!!)

鬼は咄嗟に意味の理解が追いつかなかった。

「ななななっ、なにを言っておる!儂は使い魔になっただけで主様の女になった覚えは無いぞ!?」

鬼の顔が真っ赤に染まる。

「あぁん?なんや、別に使い魔やけ他人じゃなくなったって意味やぞ。何『女』とか勘違いしとるん。だいたい俺はお前と違って大人な体型の女性がタイプやし」ケティアは切れながら言った。


しかし...

嘘である。ケティアは、前世でギャルゲーの分岐点は、絶対に妹系キャラを選ぶほどの年下タイプ系男子だ。

必死に赤くなる頬を、氷魔法と風魔法の複合魔法、『冷風れいふう』を、使って冷やしている


「そっ、そうか、じゃったら儂がスライムにでも変化へんげしておこう。そしたら問題は無いじゃろ」

鬼が顔を赤くして、言う

「何だよ、そんなんあんのかよ。先に言ってくれ」

ケティアはため息をついた。

「すまぬ、主様が案外ちゃんと、儂のことを大切にしてくれとるなと.....そのぉ.........何でも無いのじゃ!?」

鬼の顔が噴火しそうになる

「あぁ〜〜もぉ、いいけはよそれやれ!」

すると鬼が水色の定番の色のスライムになって、ケティアの肩に乗った。

水色のスライムなのに少し赤い気がする。


そして、侮辱ケティアは、最後の入学試験を突破した。

ケティアは闘技場から出ると、体育館に行き入学式を受けに行く。

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